首都移転先はカリマンタン島が有力

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年06月25日

インドネシアの「ジャカルタ・ポスト」紙は6月24日付の朝刊で、バンバン・ブロジョヌゴロ国家開発庁(バペナス)長官への取材の結果、ジャカルタからの首都移転先として、ジャワ島外、特にジャワ島の北に位置するカリマンタン島が有力視される、との特集記事を掲載した。バンバン長官によると、移転先は早ければ2019年内にも発表される見通し。

首都移転は、4月29日にジョコ・ウィドド大統領が閣議決定した(2019年5月8日記事参照)。(1)移転しないで政治機能専用区域を設ける、(2)ジャカルタ近郊の他地域に移転する、(3)ジャワ島外に移転する、の3つの選択肢で検討されている。ジョコ大統領は5月にカリマンタン島の候補地を視察済みだ。

同紙によると、バンバン長官のコメントとして、上記の(1)と(2)の選択肢は、「ジャカルタへの人口一極集中を解消することにならず、政府が目指すインドネシア全域の開発につながらない」「バペナスの提言に基づき、首都はジャワ島外となるだろう」としている。バペナスが移転対象としているのは行政、治安維持などを所管する政府機関で、金融や投資などを所管する機関は、ジャカルタに残る見込みだ。

地震災害のリスクを警戒

カリマンタン島への移転は、人口集中の解消や東インドネシア地域の開発以外にも、地震など自然災害を避ける目的もある。同島は環太平洋火山帯に属しておらず、地震災害のリスクが少ないとされる。また、インドネシア全域の中央に位置しており、スカルノ初代大統領も中央カリマンタンへの首都移転構想を有していた。他方、カリマンタン島への移転は、熱帯雨林保護の視点から自然保護団体などの反対意見もある。

同紙によると、政府は2020年にかけて移転に関連する行政手続きを行い、2021年から建設工事を始める計画。移転の第1段階は2024年を見込んでいる。

(山城武伸)

(インドネシア)

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