米国の対中レアアース輸入額、2018年は前年比20.7%増

(米国、中国、EU)

米州課

2019年06月20日

米中貿易摩擦が激化する中、米国通商代表部(USTR)は5月13日に制裁第4弾として3,805品目(3,000億ドル相当)を対象に最大で25%の追加関税を課すとしているが、中国に輸入依存するレアアースは対象外となっている(2019年5月14日記事参照)。一方、中国側では、レアアースを米国への対抗カードとして使う向きもあり(2019年6月14日記事参照)、米国商務省は6月5日に、レアアースの供給確保に向けて連邦国有地などの開発・認可などを迅速に行うとする報告書を発表している(2019年6月20日記事参照)。

そこで、米国のレアアースの輸入動向(HTSコード280530号、284610号、284690号)をみたところ、2018年の対中輸入額は前年比20.7%増の9,187万ドルで、EU28カ国からは5.5%減の2,812万ドルだった。全輸入額に占める中国の割合は56.4%で、品目別にみると、ランタン以外の希土類炭酸塩(HTS2846.90.8075)は100%、ランタンを含む希土類酸化物(HTS2846.90.2005)は97.9%、ランタンを含む希土類炭酸塩(HTS2846.90.8070)97.8%と、これらの品目はほぼ全てを中国から輸入している。

輸入増加に寄与した品目をみると、イットリウムもしくはスカンジウムを含む無機または有機化合物(HTS2846.90.8090)が前年比20.2%増の6,058万ドルで、その他の希土類酸化物(HTS2846.90.2040)は2.9倍の442万ドルと急増した。

2019年第1四半期のレアアースの対中輸入額は、前年同期比4.3%減の1,910万ドルと減少した一方、EU28カ国からは3.0%増の566万ドルと増加した。中国への輸入依存度が高いランタンを含む希土類酸化物の対中輸入額は2.0倍の131万ドルと拡大したが、イットリウムもしくはスカンジウムを含む無機または有機化合物については、中国からが21.4%減の1,022万ドルにとどまる一方で、EU28カ国からは6.7%増の413万ドルと増加した。

(中溝丘)

(米国、中国、EU)

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