米中貿易摩擦の中で高まるレアアース産業への意識

(中国、米国)

中国北アジア課

2019年06月14日

中国国家発展改革委員会は6月4日、質の高い産業発展を目指すため、レアアース産業専門家の座談会を開催し、意見や提案などを聴取したと明らかにした。専門家からは、レアアースは再生できない希少で重要な戦略資源であり、国家は全方位の監督管理を強化すべきとの提言があった。具体的に、違法採掘や密輸などの行為を厳しく取り締まるべきなどとされた。輸出管理・コントロールを強化し、レアアース輸出の全工程について、履歴追跡と審査を行うメカニズムの確立を求める提言もあった。

国家発展改革委員会の担当者は、専門家の意見と提案を真剣に検討した上で、関係部門と連携して早急に有効な措置を打ち出すと表明した。ちなみに、同委員会は6月5日には、レアアース関連企業の意見、提案を聴取する企業座談会と、主要レアアース生産地の担当部門から意見、提案を聴取する重点地区座談会も開催したと明らかにしている。

その企業座談会でも、輸出管理・コントロールを強化するよう提言が出されたとしている。このほかにも、知的財産権保護を強化し、中国の優れたコア技術が国外に流出することを厳しく禁じるようにといった提案もあった。

米中貿易摩擦が激化する中で、米国が中国に輸入依存するレアアースを対抗カードとして使うとみる向きがある。米国通商代表部(USTR)が5月13日に1974年通商法301条に基づく追加措置として、新たに対中輸入額3,000億ドル相当の追加関税対象品目リスト案(リスト4)を公表したが、そこでもレアアースは対象外となっている(2019年5月14日記事参照)。なお、商務部の6月13日の定例記者会見の際、5月の中国のレアアース輸出額が前月比16%減になった理由と、前述の専門家座談会、企業座談会で提案を受けた輸出管理・コントロール措置に対する見方についての質問に対し、高峰報道官は、レアアースの輸出の変動は市場変化を受けたものであり、政府は目下、新たな管理措置は取っていないと述べた。

習近平国家主席が5月20日に江西省のレアアース関連企業を視察したほか、国家発展改革委員会も同28日に担当者のレアアース産業の発展に関する問題の記者への回答を掲載するなど、中国政府のレアアース産業への意識の高まりを感じさせる事項が増加している。同産業をめぐる中国政府の政策などを今後注視していく必要がある。

(宗金建志)

(中国、米国)

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