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富士通研はトロントのAI・量子コンピューティング研究に魅力、カナダのAI分野

(カナダ)

トロント発

2019年06月26日

ジェトロは6月11日にトロントで開催した「カナダIT投資・イノベーションセミナー」のパネルディスカッションの中で、富士通コンサルティング・カナダのリサーチマネージャー、木船雅也氏にカナダに拠点を開いた理由について話を聞いた。同氏は現在、富士通研究所が2017年にトロント大学との戦略的パートナーシップを締結し、2018年に同大学内に開設した共同研究所で活動している。

(問)なぜカナダに拠点を開いたのか。

(答)カナダの企業や大学で人工知能(AI)・量子コンピューティングの分野の研究が精力的に行われており、また、同分野の優れた人材が豊富であるからだ。富士通としても、同分野を革新的コンピューティング技術の1つと捉えており、研究開発強化のためにカナダに拠点をつくることにした。また富士通の事業部門が、2018年にバンクーバーにAI拠点を設置したが、その際は、既に協業している企業の存在や、連邦政府やブリティッシュ・コロンビア州政府、研究機関の支援も設立に至った理由だ。

トロント大学は、同大学の設立に関わったセンター・フォー・クォンタム・インフォメーション・アンド・クォンタム・コンピューティング(CQIQC)やベクター研究所(注1)の質の高さが示すように、AI・量子コンピューティング分野において国際的に認められた世界トップクラスの大学だ。当社が同大学のアリ・シェイコレスラミ教授とは既に約20年間に及ぶ共同研究を実施していたという背景もある。

また、MaRSディスカバリー・ディストリクト(注2)を通じて、スタートアップと連携できることも理由の1つだ。

(問)カナダでの共同研究を成功させるための、秘訣(ひけつ)は何か。

(答)文化や言葉の壁があり簡単ではないが、相手の考え方を把握するとともに、自身も目的をしっかりと持ち、それを伝える。相手が分からなければ説明し、議論を粘り強く重ねていくことが重要だ。

開発した技術をどのように自社の商材に組み込むか、研究の進捗に合わせて計画の軌道修正と具体化をしながら、一緒になって研究開発を進めるのが肝要と考えている。

(問)カナダの強みは何か。

(答)カナダの医療や金融分野、アーキテクチャなどの研究は、世界トップレベルだと考えている。例えば、約1年あれば著名な国際学会で採択されているレベルの研究を行い、結果を出すことが可能だ(テーマによってはより速いものもある)。

特に、トロントは産業的にも医療や金融分野についての強みがあるので、実際のデータを使った実証実験を通じて、産学双方にインパクトある研究成果を実現できればと考えている。カナダでは現在、政府が積極的に企業誘致や産学連携の後押しをしており、人材獲得、コスト面などでも有利な点が多いと思う。

(問)日本と比較したカナダの違いはあるか。

(答)(米国の)シリコンバレーもそうだが、新しい技術に対しても当社に「一緒にやってみよう」と声をかけてくれるチャレンジ精神の旺盛な若い研究者・技術者が日本に比べて多いと感じている。

AI分野は研究スピードが速いので、関係者と密にコミュニケーションを取れる場所に「いる」ということが必要だ。人々が集まる場所にいると、異分野の人も含めた会話の中からアイデアがどんどん出てくる。こういった富士通研究所のトロント拠点のような環境は日本にはあまりないと思う。

写真 トロントにおける研究開発のメリットを説明する木船雅也氏(ジェトロ撮影)

トロントにおける研究開発のメリットを説明する木船雅也氏(ジェトロ撮影)

(注1)ディープラーニング(深層学習)に特化した研究機関として、2017年3月にMaRS内に設立された。「ディープラーニングの創始者」として世界的に有名なジェフリー・ヒントン・トロント大学名誉教授が主任科学顧問に就任している(2018年6月11日付地域・分析レポート参照)。

(注2)MaRSは、トロントのダウンタウンにある、革新技術の研究開発を支援する世界的なイノベーションハブ。

(江崎江里子)

(カナダ)

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