政府、知的財産保護の強化を推進

(ウズベキスタン)

タシケント発

2019年06月11日

ウズベキスタン政府が知的財産保護の強化に向けた取り組みを進めている。知的財産局はジェトロのヒアリング(4月29日)に対し、知的財産法廷の設立に向けた政府内の検討が最終段階に入っていることを明らかにした。現在、知的財産をめぐる訴訟は経済裁判所が管轄しているが、知的財産を専門に扱う法廷の設立が実現すれば、審理スピードや信頼性の向上が期待される。

商標審査も改善が図られている。ジェトロが行った特許事務所「アジアン・インテレクチュアル・プロパティー」へのヒアリング(5月8日)によると、2018年末ごろから審査実務が改善し、著名なブランドに関する明らかな悪意の商標出願については、審査段階で拒絶されるようになってきている。これまではいかに著名なブランドであっても、国内で未登録の場合は、第三者による悪意の登録が認められてしまうことがほとんどで、正規のブランドオーナーにとっては、無効審判請求が事実上唯一の解決策だった。そのため、今回の審査実務改善のもたらす意義は大きい。

ウズベキスタンは「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS協定)」の枠組みにこそ入っていないものの(2019年5月時点でWTO未加盟)、知的財産の法体系自体は比較的整備されており、特許協力条約(PCT)やマドリッドプロトコルなどの主要な知的財産保護の国際的枠組みにも名前を連ねている。一方、米国通商代表部(USTR)が4月に公表した「2019年版スペシャル301条報告書」では前年に引き続き監視国の1つに挙げられるなど(2019年5月9日記事参照)、同国の知的財産保護環境は改善の余地があるというのが大勢の見方だ。

ウズベキスタン政府は近年、イノベーション創出や外国投融資誘致を主要な政策の柱に据えており(2018年9月28日記事2019年1月16日記事参照)、政策の実現を図る上でも知的財産保護の強化は重要な1つのカギとなっている。ジェトロでは、知的財産分野に関する基礎的な情報発信の一環として、このほどウズベキスタン知財法律事務所一覧を作成・公開している(添付資料参照)。

(小野好樹)

(ウズベキスタン)

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