「信頼できないエンティティー・リスト」に対する見方

(中国、米国)

中国北アジア課

2019年06月07日

中国商務部が「信頼できないエンティティー・リスト」制度を策定すると発表したことを受け、実施細則など今後の運用が注目されている(2019年6月3日記事参照)。6月6日に行われた商務部の定例記者会見で、高峰報道官は「同制度の策定は国際通例を参考にしたもので、公平な競争を実現する市場秩序維持を目的としている」と説明した。

また、高報道官は「同制度は非商業目的で市場を歪曲(わいきょく)する行為に対して設計した規範化を促す制度で、具体的な領域、個別企業、組織あるいは個人に対するものではない」と強調し、「米国に対抗する措置でない」とした上で、「中国の法律や法規、市場ルールなどを順守する企業は心配する必要がない」と述べた。

一方、中国国内で報道された専門家の見方は表のとおり。「リスト制定は米国の覇権主義への反撃だ」「リスト掲載企業に対し、中国は一定の制限や罰則措置を実施する可能性もある」「外国企業などがいったんリストに記載されれば、中国企業との取引だけでなく、全世界の対中国業務についてもマイナスな影響を受ける」など、やや過熱気味の見解もみられる。

表 「信頼できないエンティティー・リスト」に対する専門家の見方

高峰報道官は、関連手続きを実行した上で制度の詳細を近日中に公表するとしており、引き続き動向を注視していく必要がある。

(方越)

(中国、米国)

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