PEMEXとの共同開発陸上鉱区の入札中止を発表

(メキシコ)

メキシコ発

2019年06月17日

国家炭化水素委員会(CNH)は6月13日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、メキシコ石油公社(PEMEX)と民間企業が共同で開発する予定だったベラクルス州、タバスコ州、チアパス州の陸上ガス田を中心とした7鉱区の入札中止を発表した。

入札中止の理由について、エネルギー省(SENER)関係者は「PEMEXの該当予算が増えたため、PEMEX独自で入札鉱区のプロジェクトを推進できると判断した」とし、PEMEXが中止された案件を引き継ぐことを示唆した(「エル・フィナンシエロ」紙6月14日)。

今回の決定に対し、CNHのセルヒオ・ピメンタル氏は「民間部門の投資なしでは、政府が目指している日量260万バレルの原油採掘に達するすべはないだろう。入札のルールを変えてしまっては、民間部門に悪いシグナルを送ることになり、目標達成はさらに遠のく」と指摘した(「エル・エコノミスタ」紙6月14日)。

エンリケ・ペニャ・ニエト前政権で実施されたエネルギー改革の下、炭化水素資源鉱区を民間開放する入札が行われており、それぞれの鉱区を落札者自身が開発する「ラウンド」と、落札者がPEMEXと共同で開発する通称「ファームアウト」案件の2種類の入札が進められていた。今回の入札中止は、ファームアウト案件に当たる。

「ラウンド」についてはラウンドスリー・フェーズ1まで入札が終了していたが(2018年4月16日記事参照)、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領の方針転換を踏まえ、CNHは2018年12月11日付プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで、既に発表されていたラウンドスリーのフェーズ2および3の陸上油田開発入札の中止を発表している。さらに、AMLO大統領は今後3年間、民間企業への鉱区開放ラウンドを実施しないとした(2018年12月6日記事参照)。

(岩田理、原大智)

(メキシコ)

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