恒大集団、広州に2兆5,000億円投資、新エネ車生産100万台を目指す

(中国)

広州発

2019年06月24日

広州市政府と不動産大手の恒大集団は6月11日、戦略的協力枠組み協議(協定)を締結した。広州市南沙区に新エネルギー車の完成車・電池・電動機の研究開発・生産拠点を設立する。総投資額は1,600億元(約2兆5,600億円、1元=約16円)、新エネルギー車生産台数は100万台を目指す。

電池について、50ギガワット時クラスの生産規模を持つ工場を建設し、電動機については、100万台の需要を満たす規模で、電動機・電気コントロールシステムを生産する。

締結式には馬興瑞・広東省長、張碩輔・広州市共産党委員会書記、許家印・恒大集団董事局主席などが出席した。

関連メーカーを次々と買収

恒大集団は近年、新エネルギー車産業への参入を強化している。1月にはスウェーデンの電気自動車(EV)メーカー「NEVS」の51%の株式を取得、同月24日には動力電池の「CENAT(卡耐新能源)」の58%の株式を取得して傘下に収めている。また、5月30日には英国のインホイールモーター(注)メーカー「Protean」を完全子会社化するなど、新エネルギー車関連企業の買収を積極的に行っている。

恒大集団は6月15日には遼寧省の瀋陽市政府とも戦略的協力協議を締結、同市で新エネルギー車関連プロジェクトなど1,200億元を投資するとしており、中国内でも積極的に大規模投資している。

米国での買収は不調

一方で、2018年に子会社を通じて45%の株式を取得した米国のEVメーカー「ファラデー・フューチャー」(2018年8月23日記事参照)とは、広州市にEVの開発・製造拠点を設立したものの、その後資金提供の問題などから協力関係は終了している。また、同集団の「ファラデー・フューチャー」の買収は、米国の1974年通商法301条に基づく対中制裁措置に関する調査報告書の改訂版で、対外投資による知的財産権の不正な入手の事例として挙げられた(2018年12月6日記事参照)。

(注)EVのモーターをガソリン車のエンジンの位置ではなく、駆動輪のすぐ近くに配置してタイヤを直接駆動するもの。

(河野円洋)

(中国)

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