モンゴル鉄道公社などによるモンゴル・ロシア・中国経済回廊活用の動き
(モンゴル、中国、ロシア)
北京発
2019年06月28日
モンゴル鉄道公社(MTZ)のB.ツェンゲルCEO(最高経営責任者)は5月26日に中国・天津市を訪問し、天津港を運営する天津港集団の子会社である天津港経済技術協力公社と合弁会社「中国モンゴル国際物流センター」を設立する契約書に署名した。同物流センターは、天津市東疆保税港区にモンゴルが天津市から借地する10ヘクタールの土地に、7月から建設される予定だ(注1、「ikon.mn」5月28日)。
MTZのツェンゲルCEOへのインタビューによると、MTZは東疆保税港区に商品を集積・仕分けし、天津~ウランバートル~ウランウデ(ロシア)路線を経由して、欧州各国向けに物流サービスを提供することを計画している(注2)。同路線は「モンゴル・ロシア・中国経済回廊」(注3)として、3カ国の物流を担う主要ルートで、同物流センターを単なる物流・倉庫サービス拠点にとどまらず、高付加価値商品の製造拠点として活用する可能性も検討しているという。
またMTZは、モンゴル産品の輸出や物流センターにおける付加価値商品の製造に期待を寄せる。モンゴルは鉱業と農畜産業が主要産業なため、鉱物資源や家畜由来原料・製品を同物流センター経由で日本、韓国、米国などの第三国市場に輸出する機会が開かれる。
(注1)2009年に天津市人民政府とモンゴル政府・道路運輸都市計画省(当時)は、50年間の特別優遇条件が盛り込んだ土地の租借に関する覚書を締結済み。
(注2)2016年に、モンゴル、ロシア、中国の3カ国の道路を経由してトラック輸送を行う政府間協定が承認された。MTZの構想では、同ルート上はトラック輸送、その後はシベリア鉄道を活用してトランジット輸送を行うことを計画している。
(注3)モンゴル・ロシア・中国経済回廊については、活用促進に向けた動きが活発化しており、2018年のモンゴルのトラック貨物輸送量は大幅に増加している(2019年1月31日記事参照)。
(藤井一範)
(モンゴル、中国、ロシア)
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