UAE政府、初めて在住外国人に永住権を付与

(アラブ首長国連邦)

ドバイ発

2019年06月14日

アラブ首長国連邦(UAE)の連邦アイデンティティ・市民権庁(ICA)は6月3日、通称「ゴールドカード」と呼ばれる永住権を初めて在住外国人に付与した。最初の受領者となったのは、湾岸協力会議(GCC)諸国を中心に170店舗以上あるスーパーマーケットチェーン、ルル(LuLu)を経営するインド人実業家ユースフ・アリ氏。

同氏は地元紙「ガルフ・ニュース」の取材に対し、「UAEの国家構築プロセスにおいて大きな役割を果たしてきた外国人投資家を対象としたこの新しい永住権制度は、投資およびビジネスにおける主要なグローバルハブの1つとしてのUAEのイメージをさらに高め、新しい投資家を引きつけることになるだろう。これは私だけでなく、UAEに住む200カ国以上からの外国人コミュニティー全体にとって名誉なことだと思う」と答えた。

本件は、2018年11月に承認された内閣決議2018年56号に基づく「投資家永住権システム」によるもので、5月にはムハンマドUAE副大統領兼首相兼ドバイ首長が、70カ国6,800人の在住外国人を永住権発給対象者として認めたと発表していた。その中には、投資家や実業家、起業家、高度な能力を有する専門家や学生らが含まれるといわれており、これら在住外国人のUAEへの投資総額は1,000億ディルハム(約2兆9,000億円、1ディルハム=約29円)になるという。対象者の同行家族にも、永住権が認められる。

一方で、2018年5月に閣議承認された投資家や起業家、優れた専門家や学生らに対する、5年または10年間の長期居住ビザ(2018年12月11日記事参照)も、2019年から発行が開始されている。これまでUAE人口の9割近くを占める在住外国人は、原則2年ごとにビザの更新が必要だった。長期ビザに加えて、永住権も認めることで、政府は投資資金や優れた才能を有する人々をより一層UAEに集めようとしている。

(山本和美)

(アラブ首長国連邦)

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