メドベージェフ首相、行政当局による管理監督法令の刷新に向けたロードマップ承認

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年06月06日

ロシアのメドベージェフ首相は6月4日、国や地方自治体の行政当局による過剰な管理監督活動の削減に向け、行動計画(ロードマップ)を承認した。プーチン大統領が2月20日に行った年次教書演説の内容(2019年2月21日記事参照)の実現指示に基づき策定されたもの。大統領は連邦政府に対し、主要ビジネス団体の参加を踏まえ、2021年1月1日までに、現行の法制度・要求、国家管理に基づく検査の撤廃と、現実に即した要件、事業者のリスクレベルに基づく対応、対象分野の最新技術動向などを勘案し、新しいルールの導入に向けた法令変更を行うよう指示していた(2019年5月23日記事参照)。

ロードマップの具体的な内容は添付資料のとおり。国の管理監督活動の法制度基盤の策定に関する流れ、実施のめど、担当官庁・機関を規定するもので、a.連邦法案「ロシア連邦における国家管理(監督)と地方自治体管理」の策定、b.連邦法案「強制要件」(注)の策定、c.特定分野の強制要件策定、強制要件の体系化に向けた法令修正、国民の権利を侵害する条項の除外、d.cに関する法令採択に基づく連邦政府決定、省令などの策定、e.現行法令規則の2021年1月1日での失効に向けた連邦政府決定の策定、の5項目が掲載されている。

ロシアにおける欧州系企業が加盟する主要ビジネス団体「在ロシア欧州ビジネス協会(AEB)」は、会員企業に対して、どういう法令をどのように修正すべきか、というアイデア・コメントを4月末から5月下旬にかけて募集。途中経過(5月20日時点)では、防災機器の要件、医療活動ライセンス、無線工学機器・高周波機器の登録、衛生疫学監督法令、環境保護監督法令、検疫検査、強制規格認証、労働法、ロシア中央銀行の指示・管理監督、運送規則などの法令見直しについての提案があった。

主要経済紙「コメルサント」(6月4日)は、現時点で事業者に対する要求数は9,000以上に上っているため、これを刷新するだけで2~6%のGDP拡大に寄与すると指摘している。

(注)製品・サービス内容や事業活動において順守すべき義務・ルール。

(齋藤寛)

(ロシア)

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