上海市が2019年に重点的に管理する汚染排出企業リストを公表

(中国)

上海発

2019年05月28日

上海市生態環境局は5月17日、「上海市2019年重点汚染排出企業リスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下、リスト)を発表した。2017年に当時の環境保護部は、重点汚染排出企業の環境保護監督管理を強化するため、「重点汚染排出企業リスト管理規定(試行)」を発表しており、これに基づいて、各省市は重点汚染排出企業のリストを確定させることとなっている。上海市は2018年に続きリストを公開した。

2019年のリストでは、重点的に管理監督を行う企業を、水、大気、土壌、危険廃棄物およびその他の5分野に分けており、複数の分野で掲載されている企業もある。汚染排出の多い企業や有害物質を排出している企業、または3年以内に比較的大きな環境事故を引き起こした企業はリストに掲載されるとしており〔調査レポート「長江デルタ地域主要都市における環境規制の現状と動向調査(2019年3月)170~174ページを参照」、日本企業の名前もリストで散見される。

一方、2018年のリストには騒音分野があったが、2019年のリストには同分野がなく、代わりに危険廃棄物分野が新たに追加され455社が掲載されている(表1参照)。近年の化学品に関する規制強化や、隣接する江蘇省の爆発事故による影響(2019年4月23日記事5月10日記事参照)を受け、危険廃棄物分野が重点分野に加わったものとみられる。結果として、対象企業の総数は増えたが、2018年よりも企業数が減っている分野もあり、上海市から別の地域へ工場の移転が進んでいる様子もうかがわれる。また、対象企業の所在地をみると2019年は金山区、浦東新区、嘉定区、奉賢区の4区でそれぞれ200社を超えた(表2参照)。

表1 リストで公開されている重点管理監督分野別の企業数
表2 上海市の重点管理監督企業数(区ごと)

2018年にジェトロが実施した「進出日系企業に対する環境規制調査アンケート」でも、約半数の企業が政府の指導を受けたと回答しており、環境規制の執行は引き続き厳しく行われるとみられている。重点管理対象以外の企業についても、環境規制への適切な対処が求められる。

(高橋大輔)

(中国)

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