トヨタカナダが日本以外で初めて「レクサスNX」を生産、式典にはトルドー首相も出席

(カナダ)

トロント発

2019年05月09日

トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・カナダ(TMMC)は4月29日、本社組立工場(オンタリオ州ケンブリッジ)で、2022年初頭から「レクサスNX」と「レクサスNXハイブリッド」のコンパクト・ラグジュアリースポーツ用多目的車(SUV)の生産を開始すると発表した。同工場では1年前に発表した「RAV4」の生産計画〔総額14億カナダ・ドル(約1,148億円、Cドル、1Cドル=約82円)〕により生産設備を一新したが(2018年5月10日記事参照)、RAV4の生産の一部を米国ケンタッキー州に移したために生じた余剰スペースを利用し、レクサスを生産することになる。

TMMCはケンブリッジ工場において、ジャスティン・トルドー首相、クリスティーン・エリオット・オンタリオ州副首相兼保健医療相ら政府関係者を来賓に迎えて、NX新規生産の発表式典を実施した。TMMCのフレッド・ボルフ社長は「北米市場全体で人気のあるレクサスNXおよびレクサスNXハイブリッドの生産拠点として、日本国外で初めてTMMCが選ばれたことを光栄に思う」と述べた。TMMCは、2018年に発表した生産計画に基づき、生産の柔軟性や生産効率を高め、優れた製品を提供するために、ケンブリッジの北工場と西工場をトヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)プラットフォームに転換している。TMMCは、この戦略的な投資により、急成長する北米のコンパクトSUV市場の需要の変化に応じて、生産をシフトすることが可能になったとしている。

北米トヨタ(TMNA)のジム・レンツ最高経営責任者(CEO)は「高級コンパクトSUV市場が成長を続ける中で、北米でレクサスNXを生産することは、顧客や販売店により良いサービスを提供できる」と語った。

トルドー首相は「今日はトヨタ、ケンブリッジ、そしてカナダにとって素晴らしい日。カナダの自動車労働者は世界で最も優れており、顧客のニーズを満たす自動車を設計、生産するためのスキルとノウハウを持っている。トヨタのケンブリッジ工場における新たな取り組みは、カナダの自動車産業に対する信任投票で、カナダが将来の新たなハイテク経済をリードするのに役立つだろう」と述べた。

オンタリオの自動車業界にとって久しぶりの朗報

カナダではこのところ、米国自動車メーカーの工場閉鎖や縮小が相次いでいた。ゼネラルモーターズ(GM)は2018年11月に業務再構築計画を発表し、カナダのオシャワ工場を2019年12月に閉鎖することを決め(2018年11月28日記事参照)、フィアットクライスラー・オートモービルズ(FCA)は2019年3月28日、オンタリオ州ウィンザーの組立工場で、2019年9月30日からの約1,500人の人員削減計画を明らかにしている(2019年4月5日記事参照)。TMMCのボルフ社長は発表式典で「トヨタはカナダにとどまって生産を続ける」とも述べており、オンタリオの自動車業界にとって久々の朗報となった。

(酒井拓司)

(カナダ)

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