エジプトの経済再生プログラムをIMFが高評価

(エジプト)

カイロ発

2019年05月27日

IMFは2016年にエジプト政府への総額120億ドルの分割融資に合意しており、融資の条件として経済再生プログラムの実行を課している(2018年5月14日記事参照)。6回目の最終融資枠(トランシェ)である20億ドルの融資実行に当たり、5月5日から経済再生プログラムの最終レビューを行い、5月17日に結果を公表した。

IMF代表団はエジプト政府の約3年間の経済改革を高く評価した。IMFや海外からの融資により、外貨準備高は約440億ドルまで増加、GDP成長率は2016/2017年度の4.2%から2017/2018年度は5.3%に加速し、経常赤字の対GDP比は5.6%から2.4%に減少したと述べた。物価上昇率(対前年同月比)が2017年7月の33%から4月の13%まで下がったとして、エジプト中央銀行の対応を認めつつ、1桁台への低下を期待した。政府の雇用促進による失業率改善も評価しており、2011年の「アラブの春」以降に失業率は約13%まで上昇したが、中央動員統計局によると、2019年第1四半期(1~3月)は8.1%まで低下した。IMF代表団は、財政改善、国営企業の経営の透明性強化、汚職の取り締まりなどを今後の課題とした。

今後、巨額融資の返済が求められるものの、格付け会社からも一定の評価がされており、エジプト国債の格付けについて、フィッチ・レーティングスは3月、ムーディーズは4月に、それぞれ1段階引き上げた。さらに、エジプト財務省は、2018/2019年度のGDP成長率は前年度を上回り、5.6%に達するとの見通しを5月に発表した。

(井澤壌士)

(エジプト)

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