経済再生プログラムの取り組みをIMFミッションが評価

(エジプト)

カイロ発

2018年05月14日

IMFのカイロ訪問団は5月4日、前回3月に続き、経済再生プログラムの進捗状況を評価した。IMFは2016年8月に3年間で総額120億ドルの分割融資に合意し、同時に為替安定、インフレ抑制、雇用促進、財政健全化などを求める経済再生プログラムの実行を課した。IMFは年2回程度、政府の改革状況を評価する予定にしており、今回のミッションは、4回目となる次回の融資20億ドルの実行前という重要な評価になる(2018年2月15日記事参照)。

評価メンバーには、デイビッド・リプトン筆頭副専務理事を代表に、理事のハゼム・エル・ベブラウィ元エジプト首相も含まれていた。評価結果は、シェリーフ・イスマイール首相や関係閣僚、中央銀行総裁なども同席して一部公開形式で行われた。

リプトン筆頭副専務理事は、エジプトは経済改革と近代化のためのプログラムを進めていると高く評価し、2016年は厳しい経済状況に直面したが、経済成長は上昇に転じ、インフレ率は低下しており、公的債務比率は低下すると予測した。輸出と観光業も回復し、経常赤字は縮小しており、2018年の経済成長率は当初の予測を上回り5.2%、インフレ率は11%に低下するとの見通しを述べた。

他方、公的債務比率が非常に高いことが、経済再生プログラムに影響しないか懸念も示された。このため、エネルギーへの補助金撤廃や付加価値税の対象の拡大など、安定した財政収支に向けた取り組みを今後も厳しくみる姿勢を強調した。

エジプトは、人口9,400万人のうち、24歳以下が半分を占める。10年後には就労人口は約8,000万人と予想される中、中小企業が成長するビジネス環境が必要だと同氏は付け加えて、評価を終了した。

アムル・アリー・エルガルヒー財務相は、記者会見で、2018/2019年度(2018年7月~2019年6月)の外国直接投資受け入れ額は前年比約20%増の100億ドルに達すると予測した。観光客数は、複数の国内旅行業者によると、2018年は900万人規模まで回復すると好調を予測した(2017年は約800万人、2016年は約500万人)。

(常味高志)

(エジプト)

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