北京市の第1四半期GRP成長率は6.4%、消費鈍化もサービス業発展を図る
(中国)
北京発
2019年05月02日
4月19日の北京市統計局の発表によると、同市の2019年第1四半期の域内総生産(GRP)は、前年同期比6.4%増の7,409億6,000万元(約12兆5,963億円、1元=約17円)で、伸び率は前年通年を0.2ポイント下回った。産業別では、第一次産業が6.4%減、第二次産業が6.7%増、第三次産業が6.3%増となった(表参照)。同市統計局は、第1四半期の経済について、「穏中求進(安定の中、進歩あり)の状況にあり、質の高い発展およびサプライサイド構造改革を深く推進したことにより、良いスタートを切った」と説明した。
第三次産業のうち、金融、情報サービス、科学技術サービス業など優位産業のGRP成長への寄与率は60.9%に達し、経済全体を牽引した。
工業生産額(付加価値ベース、年間売上高2,000万元以上の企業が対象)は前年同期比7.9%増で伸び率が前年通年(4.6%)より上昇した。重点産業をみると、自動車製造業(13.8%増)、電力・熱生産および供給業(10.5%増)、コンピュータ・通信・その他の電子設備製造業(8.7%増)、医薬製造業(1.7%増)が好調だった。特に、新エネルギー自動車、スマートテレビの生産量はそれぞれ3.5倍、17.3%増となった。
固定資産投資総額は前年同期比16.9%増となった。うち、不動産投資、インフラ投資、民間投資はそれぞれ24.0%増、14.2%増、13.6%増だった。また、リース・ビジネスサービス業(2.2倍)、文化・スポーツ・娯楽業(89.3%増)、情報伝達・ソフトウエア・情報技術サービス業(25.6%増)、金融業(22.9%増)への投資が高い伸びを示した。
消費を示す社会消費品小売総額は前年同期比3.8%増の2,753億4,000万元となり、伸び率は前年通年(2.7%)より若干回復した。うち、インターネット小売額は25.2%増の685億7,000万元となった。また、住民1人当たりの可処分所得は8.3%増の1万7,069元だった。
北京市の消費は足元では小幅に回復したものの、全国の消費の伸びと比べると大幅に低い水準にある(注1)。一方、鈍化する消費の中でもサービス消費は好調で(注2)、北京市は消費促進の一環として、サービスの振興やレベルアップに力を入れている。
このような背景の下で4月16日、北京市商務局など9部門と中国国際貿易促進委員会北京市分会は連名で、「商業・サービス業におけるサービスの質的向上を目指す3カ年行動計画(2019~2021年)
」を発表した。行動計画は、サービス品質の標準化レベル向上、サービス人材の育成と技能研修強化、質の高いサービスブランドの育成、スーパーマーケットを含む大型商業施設の消費環境最適化など14の重点分野を挙げた。同局は、行動計画の実施を通じて、約3年をかけ、国際慣例に沿い、首都の特徴を生かし、なおかつ都市機能にふさわしい商業・サービス業の品質を確立するとしている。
(注1)中国全体の2019年第1四半期の社会消費品小売総額の伸びは前年同期比8.3%増(2019年4月25日記事参照)。
(注2)北京市統計局によれば、同市の2019年第1四半期のサービス性消費は前年同期比9.2%増の3,526億8,000万元で、総消費額に対する寄与率は74.5%を占めるなど、消費全体が鈍化する中で、サービス消費の伸びは堅調となっている。
(趙薇)
(中国)
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