ROH、IHQ、ITCからIBCへの移行手続きを歳入局が説明

(タイ)

バンコク発

2019年05月17日

タイにおいて導入された新制度「国際ビジネスセンター(IBC)」の税務恩典を得るための条件などが明らかになってきた。タイ歳入局は4月10日、「ROH、IHQ、ITC税務恩典の終了とIBCに関する説明会」を開催し、その後ウェブサイト上でQ&Aなどを公開した。タイ内閣は3月、「地域事業本部(ROH)、国際統括本部(IHQ)、および国際貿易センター(ITC)の税務恩典付与を終了する」旨の勅令案を承認し、企業が今後も税務恩典を得るためには、IBCへの移行が必要となる(2019年4月15日記事参照)。

IBC移行で、法人税や個人所得税を減免

企業がROH、IHQ、ITCからIBCへ移行して、税務恩典を得るには、年間1,500万バーツ(約5,250万円、1バーツ=約3.5円)以上の経費をタイ国内で支出することが必要だ。これは、IHQやITCで税務恩典を得るための最低経費と同額だ。

この点、企業がIBCに新規申請し、税務恩典を得るための最低経費は年間6,000万バーツとなる。つまり、旧制度からIBCに移行する企業は、最低経費の増額が不要だ。

ただし下記のように、IBCではより多くの経費をタイ国内で支出するほど、手厚い恩典(低い法人税率)を得る仕組みとなっている。また、駐在員の個人所得税減免(15%の優遇税率)も、IBC移行で継続が可能だ。

  • タイ国内での経費支出が年間1,500万バーツ以上、3億バーツ未満:法人税率は8%
  • タイ国内での経費支出が年間3億バーツ以上、6億バーツ未満:法人税率は5%
  • タイ国内での経費支出が年間6億バーツ以上:法人税率は3%

歳入局への申請は5月開始、ITC企業は注意

歳入局のIBC申請受け付けは5月中にもウェブサイト上で開始される予定だ。この際、貿易業のみ行うITC企業は注意が必要だ。貿易業だけでは、IBCに認定されないためだ。IBC申請には、貿易業に加え、国内外関連会社への管理サービス、技術支援サービス、財務管理サービスなどのIHQ事業のいずれかを行う必要がある。

そのほか、ROH、IHQ、ITCともに、IBC移行には、10人以上の被雇用者リスト(財務管理のみの場合は5人以上)も併せて提出する必要がある。

(今泉美里、ニチャーパッタラ・トンワニッチャノッパクン)

(タイ)

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