歳入局、IHQやITCで承認済みの税務恩典を終了

(タイ)

バンコク発

2019年04月15日

タイ内閣は3月26日、「国際統括本部(IHQ)や国際貿易センター(ITC)における税務恩典の付与を終了する」旨の勅令案を原則承認した。法人税の減免は6月1日で、駐在員の個人所得税の減免は2020年1月1日で終了する。また、外国人株主へ支払う配当金、利息にかかる源泉徴収税の免除については、6月1日以前の収入を源泉とし、かつ2020年12月31日までに分配される場合に限り適用される(添付資料参照)。勅令案によると、IHQやITC以前に導入された地域事業本部(ROH)も、同様に税務恩典の付与が終了する。

タイ政府は2018年、IHQやITCの税務恩典に代わる新制度として、国際ビジネスセンター(IBC)に移行することを発表した。ただし、IBCでは10人以上の従業員の雇用義務が課されるなど、日系企業からは「申請の難易度が高まった」との声がジェトロに寄せられていた(2018年11月8日記事12月21日記事12月28日記事参照)。

タイ歳入局はこれまで、「IHQ、ITCなどの旧制度で既に歳入局から税務恩典を承認された企業は、今後も継続して恩典を享受することができる(IHQとITCでは最大15会計年度)。IBC導入の影響は受けない」と説明していた。しかし、今回の勅令案により、恩典承認から15会計年度に達していない企業も、税務恩典が上記の期日で終了することになる。

IHQやITCに認可された企業が今後も税務恩典を得るためには、IBCへの移行が選択肢の1つとなる。ただ、IBCへの移行は可能とされているものの、歳入局がIBC申請の受け付けを開始する日程や移行手続きの詳細には不明点も多く、該当企業は歳入局への早急な確認が求められる。

タイ政府は従来、IHQやITCなどの投資優遇策を導入し、地域統括拠点の誘致を行ってきた。対象企業はタイ投資委員会(BOI)に外資単独による株式所有や、歳入局に法人税の減免などを申請することができた。しかし、タイが2016年6月、OECDの「税源浸食と利益移転(BEPS)の包摂的枠組み」に参加したことにより、ROH、IHQ、ITCが有害税制と指定され、その改善を求められていた。

(田口裕介)

(タイ)

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