2018年の中国のPM2.5、年平均濃度は前年比9.3%低下

(中国)

北京発

2019年05月17日

国務院の「2018年度環境状況および環境保護目標達成状況に関する報告」(以下、報告)が4月21日、第13期全国人民代表大会(全人代)常務委員会第10回会議で審議された。報告は7つの分野(大気、水、海洋、土壌、生態システム、原子力と放射能安全、環境リスク)を分析し、生態環境の質が改善されつつあるものの、環境保全効果は強力ではないため、環境保全に向けたたゆまぬ取り組みが必要だとした。

報告によれば、全国338の地級市以上の都市のうち、大気質の環境基準に達した都市は121都市となり、全体の35.8%を占めた。大気質が優良だった日数は全体の79.3%を占め(前年比1.3ポイント上昇)、「重汚染」天気日数は2.2%(0.3ポイント下落)だった。

微小粒子状物質(PM2.5)の年平均濃度は1立方メートル当たり39マイクログラムで、基準値を11.4%上回ったが、前年比では9.3%低下し、第13次5カ年規画期間の累計では22%低下した。粒子状物質(PM10)の年平均濃度は1立方メートル当たり71マイクログラムで、基準値を1.4%上回った。二酸化硫黄(SO2)、二酸化窒素(NO2)、オゾン(O3)、一酸化炭素(CO)の年平均値はいずれも基準値を超えたが、前年比ではそれぞれ22.2%減、6.5%減、1.3%増、11.8%減となった。

2018年の環境関連の数値目標は全て達成

環境保全の9項目の拘束性目標(注)は全て達成した(表参照)。報告では、これらの成果は環境分野における法整備の加速や汚染対策の強化、中央環境監査や環境保護査察の「振り返り」の実施などによるものだとした(2018年11月6日記事参照)。

表 2018年の環境保全における目標達成状況

報告は、経済の下振れ圧力が増すこと、一部の地域・分野における環境対策が遅れていること、環境保全に関する専門性を持つ人材が不足していること、などの課題に直面している現状を踏まえ、2019年はグリーン発展を目指した質の高い発展に向け、「青空を守る戦いに勝利する」取り組みを重点とし、環境対策を継続して推し進める方針を示した。

(注)2018年3月の全人代において採択された「2018年国民経済・社会発展計画」で定められている拘束性目標は、強制的かつ固定的なもので、国のマクロコントロールの意図を示しており、達成が義務付けられている。

(張敏)

(中国)

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