注目を集める「医療用マリファナ栽培」の自由化

(タイ)

バンコク発

2019年05月09日

タイ東北部ブリラム県の有力者で元下院議員のネウィン・チドチョブ氏は4月19~21日、地域開発を念頭に置いた大規模イベント「パン・ブリラム」を「チャーン・インターナショナル・サーキット」で開催した。テーマは「医療用マリファナ」。予定していた10万人の倍の約20万人が訪れ、タイでの「医療用マリファナ」に対する関心の高さがうかがえた。

ネウィン氏は、3月24日の総選挙で躍進した「タイ誇り党」に大きな影響力を持つ人物として知られているが、今回は立候補しなかった。同党は「タクシーやバイクなどの乗車アプリケーションの合法化」や「在宅勤務の推進」「デジタル授業」に加え、「医療用マリファナ栽培の解禁」を選挙公約に掲げていた。既に解禁されている医療用マリファナの「使用」に加え、「栽培」を解禁すれば、がん患者の治療に資するだけでなく、農家の現金収入の手段が増えて農家も豊かになると訴えた。

現地紙によると、同党のアヌティン党首は「医療用マリファナ栽培の全面解禁を支持する政党と連立を組む用意がある」と述べている。同党は総選挙で52議席(2019年4月8日記事参照、注)を獲得する見込みで、激しさを増している連立交渉の中で重要な役割を担うとみられている。もし連立政権に合流し、農業協同組合相や保健相ポストを握れば、「医療用マリファナ栽培」解禁に向け、一歩前進する可能性も出てくる。

(注)現時点では選挙結果は確定しておらず、選挙管理委員会から公式の選挙結果が公表されるのは5月9日以降になる予定。

(阿部桂三)

(タイ)

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