アーダーン政権、2020年までの海外投資法改正を目指す

(ニュージーランド)

オークランド発

2019年05月13日

ニュージーランドのアーダーン政権は、2020年半ばごろをめどに現行の海外投資法の改正を目指す。申請時の手続きを見直す一方で、申請情報を基に国内経済に与える影響を判断しやすくする。同法改正は、現政権下では2018年8月(2018年9月4日記事参照)以来2回目。

外国資本によるニュージーランドへの投資では、漁業や基幹産業の一部を除き、基本的に全ての産業分野で、外国人による100%の出資が認められている。ただし、対象が「センシティブな国内資産(注)」に該当する場合、現行の海外投資法により、国土情報省海外投資局(OIO)への事前申請が必要となる。

事前申請については、日本企業がニュージーランド国内の土地とその森林資産を買収する際、OIOの承認に1年以上かかり、弁護士費用なども含め多大なコストを要する事例があり、同業の国内企業との競争で不利な状況に立たされるという懸念があった。

政府は「土地や環境は自国民が管理すべき」という意見が国内にあることを認めつつも、海外からの投資が国内の経済成長と生産性向上に寄与しており、今後もニュージーランドに利益をもたらす分野への海外投資は歓迎されるべきだとする。そのため、今回の改正では、「投資申請手続きの改善により、良質な海外投資を誘致すること」と「国内の利益に基づいた投資であることを保証すること」のバランスに焦点を当てる。

政府は4月16日から、同法改正に先駆けてパブリックコメントを募集外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしている。本件関連の公共会議の場や、eメール、郵送で応募できる。締め切りは5月24日午後5時(ニュージーランド時間)。

(注)「センシティブな国内資産」として、水源、住宅、郊外の5ヘクタール以上の土地などのほか、1億ドル以上の投資案件〔環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)対象国は2億ドル以上〕としてOIOの審査対象となっている。外資に関する規制はジェトロのウェブサイトを参照。

(奥貴史)

(ニュージーランド)

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