非居住外国人による中古住宅の購入を禁止

(ニュージーランド)

オークランド発

2018年09月04日

ニュージーランドで、非居住外国人による中古住宅購入禁止を目的とする「海外投資法改正法2018(Overseas Investment Amendment Act 2018)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が8月22日に成立した。

同法は海外投資法2005を改正したもので、10月22日から施行される。施行後は、ニュージーランド国民や永住権取得者以外は中古住宅の購入ができなくなる。禁止対象には、ワークビザや学生ビザなどによる滞在者も含まれる。ただし、オーストラリアとシンガポールの国民は自由貿易協定(FTA)適用により禁止対象から除外される。

本法案を上程したデビット・パーカー貿易・輸出振興相は「昨今、住宅価格の高騰が著しいニュージーランドにおいて、住宅市場は国際市場ではなく国内市場で決めるべきで、同国民が住宅所有の夢を再び持つための第一歩となる」と、審議の過程で述べていた。一方で、野党・国民党のジュディス・コリンズ議員は、政府統計(2018年第1四半期分)でも外国人住宅購入比率はわずか3.3%にすぎないことを指摘した上で、外国からの投資を重視する同党は本法案に反対すると表明していた。

従来の海外投資法は、外国人が水源などのある土地を取得する場合や外国人投資総額が1億ニュージーランド・ドル(約74億円、NZドル、1NZドル=約74円)以上の場合などに、国土情報省海外投資局(OIO)の審査を必要としてきた。今回の改正で、中古住宅も審査対象となる。非居住外国人による中古住宅の購入については、2017年10月にアーダーン政権が発足した際、当時の環太平洋パートナーシップ(TPP)加盟における懸念事項の1つとされていた(2017年11月1日記事参照)が、その後、同政権は国内法規制によってTPP再交渉を避けつつ懸案を解決する方針を採った。また、政府は環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)加盟に当たり、CPTPPにおいては外国人投資のOIO審査を1億NZドル以上から2億NZドル以上に引き上げると表明しており、現在、同協定の批准を前に関連法案の成立を急いでいる。

(奥貴史、ジョイ・デン)

(ニュージーランド)

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