アナダルコの天然ガス開発最終投資決定は6月18日の見込み

(モザンビーク)

マプト発

2019年05月21日

米国独立系石油開発企業アナダルコのアル・ウォーカー会長兼最高経営責任者(CEO)は5月7日、モザンビークの首都マプトでフィリペ・ニュシ大統領と会談した。同社がコンソーシアムの筆頭となっている、同国北部のカーボ・デルカド州沖合にあるエリア1ガス田の開発に関する最終投資決定(FID)を6月18日に発表する、と5月8日のプレスリリースで公表した。エリア1開発には三井物産(2012年5月30日記事参照)が参画しており、東京ガスとアナダルコとの間では液化天然ガス(LNG)の売買契約が締結(2019年2月14日記事参照)されている。

4月12日に米国石油メジャーのシェブロンが330億ドル(1株当たり65ドル)の株式および現金取引でアナダルコの発行済み株式の全てを取得する正式契約を締結したと発表したが、24日に米国石油準メジャーのオキシデンタルがシェブロンを上回る380億ドル(1株当たり76ドル)で対抗提案を実施した(2019年5月10日記事参照)。オキシデンタルは30日に米国投資家ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハサウェイからアナダルコの買収資金として総額100億ドルの投資を取り付け、5月5日にアナダルコ買収完了時に同社が保有するアフリカの資産(エリア1ガス田を含む)を総額88億ドルで売却する契約をフランス石油大手トタルと締結。さらに、アナダルコの買収金額の現金部分を、当初提案の1株当たり38ドルから59ドルに引き上げる再提案を実施したと発表した。アナダルコは5月6日、オキシデンタルによる再提案を「優れた提案」と評価し、シェブロンとの契約を破棄する意向を表明。シェブロンは5月9日にアナダルコ買収からの撤退を表明したと複数のメディアが報じた。ロイターによると、オキシデンタルは2017年9月からアナダルコに対し買収を提案していた。

今回のエリア1のFIDに関するアナダルコとモザンビーク政府間のトップ会談も、一連のアナダルコの買収劇の動向を見てのものだったとみられる。

(松永篤)

(モザンビーク)

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