ロシアのスタートアップ企業との交流イベントを都内で開催

(ロシア、日本)

欧州ロシアCIS課

2019年05月13日

日本とロシア間のスタートアップ企業連携を推進する民間団体ジャパン・ロシア・イノベーションブリッジ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(JRIB、注1)と、起業家への支援サービスを提供するCreww(クルー)は4月24日、東京都内で「ロシア・スタートアップ・ピッチナイト」と呼ばれるロシアのスタートアップ企業を紹介するセミナー・交流会を開催した。

セミナーの冒頭で、在日ロシア連邦通商代表部のセルゲイ・エゴロフ首席代表が、OCRソフト(注2)大手のABBYYやアンチウイルスソフト大手カスペルスキーなどが日本市場で活躍していることを挙げ、ロシアのIT企業の潜在性の高さを指摘。大手企業に限らず、スタートアップ企業も高い技術力を持っていると述べ、スコルコボ・スタートアップビレッジなどロシアにおける大規模交流イベントを紹介した(2018年6月11日記事参照)。日本市場への進出加速に向け、10月15~18日に幕張メッセで開催される国際IT技術・エレクトロニクス見本市「CEATEC 2019」に合わせて、ロシアのスタートアップ企業を日本に派遣したいとの意欲も示した。

日ロのスタートアップ交流を支援するSAMI(サーミ)の牧野寛CEO(最高経営責任者)は、ロシアのIT分野のスタートアップの現状と日ロ間のスタートアップ企業の連携事例を紹介。「ロシアにも優秀なスタートアップがある。米国やアジアの投資家・機関(注3)が注目する一方、日本企業の関心は十分に向いていない」と指摘し、個別の連携事例はあるが、日本企業の間でロシア企業との連携に関するノウハウが蓄積されておらず、新規参入を図る企業がこれらを生かすことができず、これを克服するため4月にJRBIを創設したと述べた。

セミナーのピッチ(プレゼンテーション)には5社が参加(添付資料参照)。広告・マーケティング、営業支援に関するサービスから、データ売買やペット関連サービスの事業プラットフォームに至る幅広い分野の企業が発表を行い、日本企業との連携や投資を求めるアピールを行った。質疑応答では、参加者とロシア企業との間で、サービスに関するロシアの競合他社との違いや、日本のビジネス慣習上の障壁を乗り越えるための戦略などに関する議論が行われた。

写真 ピッチするロシア・スタートアップ企業(ジェトロ撮影)

ピッチするロシア・スタートアップ企業(ジェトロ撮影)

(注1)SAMI、IT分野に特化したコンサルティング会社スカイライトコンサルティング、ロシアの大手ベンチャー基金パルサーベンチャーキャピタルの3社で構成される。

(注2)画像中の文字を読み取り、データに変換する文字認識ソフトウエア。

(注3)米国のインテルやシンガポールの政府系起業・イノベーション促進機関ACEはロシアのスタートアップとの連携を図っている。

(齋藤寛)

(ロシア、日本)

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