中東の造船会社、モザンビーク国営企業3社に法的措置を申請

(モザンビーク)

マプト発

2019年05月01日

中東に本拠を置く海軍向け造船会社プリビンベストグループは4月15日、モザンビークの非開示債務問題(2017年8月9日記事参照)に関与した、モザンビークまぐろ会社(EMATUM)、モザンビーク資産会社(MAM)、プロインディクスの国営企業3社および同国政府に対し、調停手続きをスイス会議所仲裁裁判機関に提出したと、ブルームバーグが報じた。MAMには2億ドル以上の損害賠償を求めていることが明らかになっている。

プリビンベストと同社の子会社は、総額約20億ドルに上る政府保証付き「隠し債務」が付与されていた同社への資材・サービス提供の業務を請け負っていたが、支払いが行われていない、とした。なお、詳しい手段、場所などについては明かされていない。

モザンビーク政府は2019年2月に、詐欺その他の不正行為に対する補償を求めて、融資元のクレディ・スイスとプリビンベストをロンドンの商事裁判所に訴えていた。プリビンベストの広報担当はブルームバーグの電話取材で、「これ以上、沈黙を続ける気はない」と語っており、今回の決定は同政府による告訴への対抗措置と見られる。

なお、南アフリカ共和国の裁判所は4月8日、非開示債務問題に関わった疑いで拘束していたマニュエル・チャン前モザンビーク財務相の米国、モザンビークへの引き渡し要求の正当性を認めた。同氏の送致時期と場所については、南ア司法長官が最終的に決定する。モザンビーク国内では、同国司法当局が3月22日、非開示債務問題に関連して28人が起訴され、そのうち20人の起訴状を受理したことを発表した。4月12日には、前中央銀行総裁のエルネスト・ゴブ氏を検察が起訴した、と報じられた。

(松永篤)

(モザンビーク)

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