産業競争力強化に向け、資本財の輸入コスト削減へ期待

(ブラジル)

サンパウロ発

2019年05月28日

ブラジル産業機械・装置輸入業者協会(ABIMEI)と高等教育・研究機関Insperは5月23日、サンパウロ市内のInsperキャンパスで、経済省高官を招いた産業近代化をテーマとしたセミナーを開催した。経済省は産業の生産性や競争力の向上を目的に、産業機械・装置などの資本財関税の引き下げを積極的に行っている(2019年5月14日記事参照)。パネルディスカッションに登壇した経済省のカルロス・ピオ貿易審議会(CAMEX)事務局長は、過去の政権で国内生産を促す意図から保護主義的な政策を行ってきた点を指摘、新政権では市場開放を含めて、企業が生産性と競争力の向上により積極的に取り組める環境整備を推進すると説明した。

写真 ABIMEIセミナーの様子(ジェトロ撮影)

ABIMEIセミナーの様子(ジェトロ撮影)

産業機械・装置は、資本財(BK)の例外関税(Ex-Tarifário)の適用を受けることができる。セミナーで登壇した、例外関税の実務も行う民間貿易事業者UNOtradeのロベルト・カニツ氏は、同制度の利便性向上への期待を語った。なお、資本財(BK)、情報通信財(BIT)に認められていた例外関税は以前2%だったが、2017年8月16日付CAMEX決議64号(2017年8月17日付官報公示)により0%に引き下げられ、制度は拡充されている。しかし例外関税の適用は、その対象品目で「国産類似品」がないことを条件としており、カニツ氏はその判断基準が焦点と指摘する。これまで「国産類似品」の判断基準が明確ではなく、実際には国産できなくても、いずれかの国内メーカーが国産可能と主張することで例外関税の適用が受けられない事例があった。しかし、制度見直しの方向性として、その基準に価格、納期、(機械の)生産性の3点を明確化し、検証する案が議論されているという。

一方で、セミナーに参加していた、機械メーカーが多く加盟するブラジル機械・装置工業協会(Abimaq)の関係者からは、国内には高い技術力を持つ機械メーカーも多く、安易に例外関税を認めるべきではない、という意見が出された。そのほかに、機械輸入業者からは、製品に対する関税コード(NCM)の適用が、税関当局担当者の主観的な見解に依存している、との指摘もみられた。それに関連して、産業機械・装置の高度化のスピードに関税コード表の改定が追いついていないのではないか、という問題意識も会場から示された。

(二宮康史)

(ブラジル)

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