「一帯一路」構想のベラルーシの工業団地を日本企業向けに紹介

(ベラルーシ、中国)

欧州ロシアCIS課

2019年05月30日

東京で5月28日、ベラルーシ大使館、グレートストーン工業団地開発会社、ロシアNIS貿易会、海外投融資情報財団が主催する「ベラルーシ投資の魅力とグレートストーン工業団地の概要」セミナーが開催された。同工業団地は、中国企業が出資・運営するもので、ベラルーシの「地域特別経済区」でもある(2019年1月10日記事参照)。現在、中国、ベラルーシ、オーストリア、ドイツなどの計44社が入居企業として登録している。総投資額は10億ドルが見込まれ、将来的には約4,000人の雇用創出が期待されている。セミナーでは各登壇者が、工業団地の概要や、ベラルーシで活動する日本企業などによる同国でのビジネスの可能性を紹介した。

中国は、同工業団地を「一帯一路」構想の一環として捉えている。中国商務部の羅暁梅商務参事官は、同工業団地が「一帯一路構想において中国・ベラルーシ両国がともに進める国際協力のプラットフォームでモデルケース」として、その重要性をアピールした。また、日中第三国市場協力を念頭に、同工業団地での日中両国企業の協力は「中国・ベラルーシ・日本の多国間の共同発展に貢献する」として、日本企業の同工業団地への進出に期待を示した。

アレクサンドル・ヤロシェンコ・グレートストーン工業団地総裁は、ベラルーシがEUとユーラシア経済連合という2つの大きな経済圏と隣接する地理的な優位性に加え、税制、インフラ、事業開始関連手続きでの優遇措置(表参照)に触れ、「他の工業団地に類を見ない優位性がある」と強調した。

表 グレートストーン工業団地入居企業に対する各種優遇措置

ベラルーシの持つ産業ポテンシャルを、自社ビジネスに取り込む日本企業もある。光学レーザー技術関連製品の東京インスツルメンツもその1つだ。パネルディスカッションに登壇した同社の川辺常孝専務は「ベラルーシには埋もれた高度技術が多い」と、同国でのビジネスの可能性を強調した。

川辺専務によると、産業用レーザーは製鉄業や自動車産業ほか、さまざまな分野で製品の寸法測定に利用されるが、例えばベラルーシのリフテクは列車ホイールの摩耗寸法を測定する技術を持つ。停車中はもちろんのこと、時速40キロや100キロで走行中の全ホイール寸法をリアルタイムで測定し、2019年内には250キロの速度で走行する列車の全ホイールの寸法も測定できる最先端技術を完成させるという。

(加峯あゆみ、梅津哲也)

(ベラルーシ、中国)

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