上海で消費刺激にナイトタイムエコノミー推進

(中国)

上海発

2019年05月13日

中国国務院が1月末に発表した「供給のさらなる最適化による消費成長の推進に関する実施方案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を着実に実施するため、上海市の商務委員会をはじめとする9の部局が4月24日、「上海市商務委員会など9部門によるナイトタイムエコノミー発展を推進するための指導意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。また同日、8つの部局が「上海市商務委員会など8部門による上海の特色ある小規模店の発展に関する若干の意見外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。この2つの意見で、上海市の4大ブランドの1つ「上海ショッピング」により、ナイトタイムエコノミー発展の推進、国際消費都市建設を加速するとともに、裏路地経済(大通りから1つ裏路地に入った通りの経済)の発展を奨励し、上海の特色あるブティックなどの小規模店を支援していくこととした。

かつて取り締まっていた屋台などが復活へ

かつて、上海市民が退社後や休日に仲間と一緒に夜食を楽しんだ浦東新区の昌里路、黄浦区の寿寧路、浦西地区の長寧区茅台路など多くの夜市は、2018年ごろに都市整備などによって姿を消した。今回発表された2つの意見により、夜市は午後7時から翌日午前6時まで合法的な商業活動が認められようになった。意見では、海外のノウハウなどを参考に、夜間区長やナイトライフ首席執行官などのポストを設け、ナイトタイムエコノミー発展協調メカニズムを設立するとした。深夜映画館、深夜書店、ミュージッククラブなどの夜間エンターテインメントを充実させるほか、登記、標識、衛生などの面で統一した管理システムを構築するとともに、匠(たくみ)の精神を持った深夜食堂の営業も積極的に支援するとしている。

姿を消した「中国の裏原宿」を取り戻せ

旧フランス租界に位置する長楽路は、2000年ごろに世界的な有名デザイナーの出店が相次ぎ、若者の間で「中国の裏原宿」と呼ばれていた。しかし、2018年に最後の店が閉まり、その幕を下ろした。また、静安区の威海路や奉賢路などのおしゃれなブティックも、家賃の上昇や大型ショッピングモールの出現、さらにはeコマースの利用増加のため、経営が困難となり閉店が相次いだ。

上海市商務委員会商貿処の孔福安処長によると、裏路地経済と国際化した大都会の発展は矛盾しないという。ニューヨークやロンドン、パリ、東京などにも似たような地区があり、上海の特色あるブティックなどの小規模店を支援していくとしている。

消費刺激とともに上海4大「ブランド」建設も全面的に実施

今回の2つの意見は、応勇上海市長が2019年の上海市人民代表大会期間中に発表した政府工作報告で言及した「上海サービス」「上海製造」「上海ショッピング」「上海文化」という4大ブランドの建設の一環でもある。

前述の「供給のさらなる最適化による消費成長の推進に関する実施方案」では、自動車分野の具体的な支援策として、上海汽車による買い替え補助が発表されたが(2019年4月16日記事参照)、今回はナイトタイムエコノミー促進と上海市消費刺激策の具体化を次々と進める。

(張潔菁)

(中国)

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