上海汽車が国の買い替え施策を後押し、最大で1台1万5,000元補助

(中国)

上海発

2019年04月16日

上海市経済信息化委員会は4月10日、記者会見を行い、同市が「汚染防止、青い空を守る戦い」(2018年7月12日記事参照)を強化するため、自動車の買え替えを確実に推進していくことを発表した。

上海市経済信息委員会の史文軍副巡視員は「上海市は老朽化した車両から新エネルギー車、長距離走行した旧車両からミドル・ハイエンドの新車両、ガソリン車から新エネルギー車へのレベルアップを重点的に行う」と述べた。

上海で登記されている排ガス基準「国3」(注1)以下の車両は60万3,000台あり、そのうち48万台が車齢10年以上の古い車両だ。こうした車両が今後実施される排ガス基準「国6」(注2)対応の車両に変更されれば、大気汚染物質の排出量が減り、PM2.5の濃度が低下することにより大気の質も改善するとみられる。

会見では、上海市からは具体的な補助金額などの発表はなかったが、同席していた上海汽車集団(以下、上海汽車)の王暁秋副総裁が、上海汽車が30億元(約510億円、1元=約17円)を用意し、上海地域で排ガス基準「国3」以下の古い車両を、上海汽車の車両に買い替える際に支援すると表明した。

2019年1月末に中央政府など関係省庁が連名で、自動車や家電の買い替えなどを柱とする消費刺激策を発表したが、上海汽車は3月1日からこの買い替え支援を開始しており、上海市政府の会見に合わせて、上海市の施策に協力する姿勢をアピールするかたちとなった。具体的には、「国3」以下の車両を上海汽車のガソリン車に買い替える場合には1万元、新エネルギー車(EV、PHEV、FCV)に買い替える場合には1万5,000元を補助するという。期限は2019年3月1日から6月1日までだが、30億元の資金がなくなれば、期限前に補助を終了するとしている。

買い替えに伴う各地方政府の補助金額などについてはまだ明らかになっていないが、今回の上海汽車の発表に加え、増値税引き下げ(2019年3月18日記事参照)に伴い、BMW、ゼネラルモーターズ(GM)、トヨタなど外国ブランド車も値下げを発表している。政府の刺激策や各社の値下げがどの程度、中国の自動車販売台数の増加に寄与するのか注目される。

(注1)中国が2007年7月1日から実施し、ユーロ3の排ガス規制基準に相当するもの。

(注2)中国が2020年7月1日から実施予定(一部の都市は2019年内に実施予定)の新しい排ガス規制基準。

(侯恩東)

(中国)

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