チェリャビンスク鋼管工場、CIS地域で相次ぎ大径鋼管を受注

(ロシア、カザフスタン、トルクメニスタン)

欧州ロシアCIS課

2019年04月18日

ロシアのチェリャビンスク州(ウラル連邦管区)の鋼管製造大手「チェリャビンスク鋼管工場」(ChTPZ)グループは4月11日、カザフスタンの天然ガスパイプライン(以下、P/L)「サリャルカ」の幹線敷設工事向けの大径鋼管13万トンを受注したと発表した。同社は4月8日にトルクメニスタンの天然ガスP/L事業向け大径鋼管15万トンの受注も明らかにしている。

「サリャルカ」天然ガスP/L敷設事業は、カザフスタン中央部を南部クズロルダから北部ペトロパブルまで南北に貫くP/Lを4期に分けて敷設し、首都ヌルスルタンや同国中央部、北部地域に天然ガスを供給する事業(添付資料参照)。第1期工事はクズロルダから中部ジェスカスガン、カラガンダ、ヌルスルタンに至る1,081キロの工区で、工期は2018年12月から2019年12月まで。事業費は2,670億テンゲ(約801億円、1テンゲ=約0.3円)が予定されている。ChTPZによると、受注した鋼管は外径が820ミリ、厚さがそれぞれ12、14、18ミリで、第1期の半分の工区で同社製の鋼管が敷設される。契約金額は公表されていない。第2期工事以降(注)も同社製鋼管の納入が続く可能性がある。

さらに、ChTPZは4月8日、トルクメニスタン、アフガニスタン、パキスタン、インドをつなぐ1,735キロの天然ガスP/L敷設事業(TAPI、2018年1月25日記事参照)に関して、トルクメニスタンの国営天然ガス事業会社「トルクメンガス」との間で、15万トンの大径鋼管の納入契約を調印したと発表した。TAPIのトルクメニスタンでの幹線区間214キロが対象。外径は1,420ミリで、最初の納入は2019年第2四半期(4~6月)とされている。契約額は2億1,900万ドルで、支払保証の枠組みには、ロシアの銀行最大手ズベルバンク、イスラム開発銀行、トルクメニスタン国営対外経済活動銀行が参加する。

また、ChTPZは4月9日には、ロシアの天然ガス採掘大手ガスプロムのキルギス子会社「ガスプロム・キルギスタン」と技術協力協定を締結。ChTPZとガスプロム・キルギスタンは以前、共同してブハラ(ウズベキスタン)・タシケント(同)・ビシュケク(キルギス)・アルマトイ(カザフスタン)間の天然ガスP/L敷設事業を実施しており、協力関係をさらに強化するとしている。

ChTPZが2月に発表した2018年実績では、同社の2018年の鋼管出荷量は19億1,600万トン(ロシアの鋼管メーカーの出荷量に占める同社のシェアは16.5%)で、うち輸出分は前年比15%減の49万8,500万トンだった。その一方で、同社のCIS地域への輸出実績は前年比49.8%増の22万4,800トン(うち大径鋼管は前年比42.7%増の4万4,800トン)となり過去5年で最高を記録。ロシア鋼管メーカーのCIS向け鋼管出荷額でシェア47%を占め、同社にとってCIS市場の比重が拡大している。ロシアの投資会社「フリーダム・ファイナンス」アナリストのアナスタシア・ソスノワ氏は、ロシア国内でガスプロム、トランスネフチなどの大口需要家が大径鋼管の発注を大幅に減らしていることが背景にあると指摘している(「RBK」4月8日)。

(注)第2期工事はヌルスルタンから北部コクシェタウ、第3期工事がコクシェタウからペトロパブルまでの敷設が予定されている。第4期はジェスカスガンとテミルタウでの圧送施設建設が予定されている。

(高橋淳)

(ロシア、カザフスタン、トルクメニスタン)

ビジネス短信 f49da514c13c3729