日系企業の景況感、VAT引き上げの影響は限定的

(ロシア)

モスクワ発

2019年04月26日

ジェトロは4月8~19日に、在ロシア日系企業景況感調査を実施した。自社の景況感(最近の状況)DI(注)は、前回調査(2019年2月5日記事参照)に比べ、6ポイント減のプラス27と再び下降に転じた(図参照)。自社の景況見通し(2カ月後の状況)DIは、1ポイント減のプラス24とほとんど変化がなかった。

図 自社の景況DIと2カ月後の景況見通しDIの推移

1月からの付加価値税(VAT)引き上げ(18%から20%に)の市場への影響は限定的という声が上がる一方、アジアやロシア地場企業との競合激化、ルーブル為替レートの変動や米国による追加制裁への懸念により、景気はやや停滞気味と捉える企業が多い。

今後1~2年のロシアでの事業展開見通し(添付資料参照)については、「拡大」または「維持」と回答した企業は96%と前回調査からほとんど変化はなく、「縮小」と回答した企業はいなかった。ロシアの緩やかな景気回復が今後も継続するとの見立ての下、販売好調または今後成長が期待される分野・商材にあらゆるリソースを集中、極東やCIS圏への販路を拡大するなど、積極的なコメントが複数上げられた。引き続きロシアを有望市場とみる一方、米国による追加制裁の動向に対する日本の本社の警戒が強く、事業拡大に舵を切りづらいといった声も上がった。

今回の調査は、モスクワ・ジャパンクラブ商工部会とサンクトペテルブルク日本商工会の協力の下、モスクワ周辺、サンクトペテルブルク周辺、沿ボルガ地域などに所在する日系企業約250社を対象に実施し、93社から回答を得た。回答企業のうち、製造業は17社、非製造業は76社だった。

(注)景気動向指数:ディフュージョン・インデックス(Diffusion Index)の略。「良い」(または「上昇」「不足」「改善」)と回答した企業の比率から、「悪い」(または「下降」「過大」「悪化」)と回答した企業の比率を差し引いた数値。

(戎佑一郎)

(ロシア)

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