景況感は改善も、VAT税率引き上げなどが懸念材料

(ロシア)

モスクワ発

2019年02月05日

ジェトロは1月14~25日に、在ロシア日系企業景況感調査を実施した。自社の景況感(最近の状況)DI(注)は、前回調査(2018年10月1日記事参照)に比べ、12ポイント増のプラス33と再び上昇に転じた(図1参照)。自社の景況見通し(2カ月後の状況)DIも、8ポイント上昇のプラス25となり、景況DI・景況見通しDIは、ともに7回連続でプラスを維持した。

図1 自社の景況DIと2カ月後の景況見通しDIの推移

前回の調査後、ルーブル為替レートの下落や付加価値税(VAT)税率の引き上げ(2019年1月1日実施、18%→20%)があったものの、緩やかな景気回復は継続している。他方、これらの影響がいまだ市況に反映されていないとする見方が多く、今後の景気の下振れを懸念する声が数多く聞かれた。

製品・サービスの自社販売価格DIは、VAT税率引き上げやルーブル安の影響から、プラス14と前回調査から1ポイント増加し3回連続のプラスとなった(図2参照)。製品在庫DIは、10ポイント下落しマイナス4と4回ぶりにマイナスに転じ、在庫超過の企業が増えた。一方、資金繰りDIは、3ポイント改善しプラス5と7回連続でプラスとなった。

図2 販売価格DI、製品在庫DI、資金繰りDIの推移

今回の調査は、モスクワ・ジャパンクラブ商工部会とサンクトペテルブルク日本商工会の協力の下、モスクワ周辺、サンクトペテルブルク周辺、沿ボルガ地域などに所在する日系企業250社を対象に実施し、91社から回答を得た(同一企業による別拠点回答を含む)。回答企業のうち、製造業は17社、非製造業は74社だった。

(注)景気動向指数:ディフュージョン・インデックス(Diffusion Index)の略。「良い」(または「上昇」「不足」「改善」)と回答した企業の比率から、「悪い」(または「下降」「過大」「悪化」)と回答した企業の比率を差し引いた数値。

(齋藤寛)

(ロシア)

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