米国労働省、2020年施行を目指し残業規則改正に向けたパブコメ開始

(米国)

ロサンゼルス発

2019年04月03日

米国労働省は3月22日、同省が提案した残業規則(Overtime Rule)の改正案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに対する、パブリックコメントの受付を開始外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。コメントは連邦政府のウェブサイトから、5月21日まで受け付ける外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(RIN 1235-AA20)。

米国では、公正労働基準法(FLSA:The Fair Labor Standards Act of 1938)に基づき、連邦レベルの最低賃金や残業のルールなどが規定されている。また、残業代の支払いが免除される従業員(エグゼンプト従業員)と、免除されない従業員(ノンエグゼンプト従業員)なども規定しており、具体的な判断基準は、労働省の規則で定められている。

改正案には、残業代の支払いの要否を判断する給与基準について、現行の週給455ドル(年収2万3,660ドル)から週給679ドル(年収3万5,308ドル)への引き上げが提示された。現行では、週給455ドル未満の従業員が週40時間を超えて労働した場合、雇用主には残業代の支払いが義務付けられている。2016年12月にも給与基準が現行の年収2万3,660ドルから年収4万7,476ドルに引き上げられる予定だったが、施行直前に連邦地裁に差し止められた(2016年12月1日記事参照)。その後、労働省は公聴会を重ねるなどし、今回、あらためて提案し直した。

また、高報酬労働者(Highly Compensated Employee)の給与基準を、現行の年収10万ドルから年収14万7,414ドルに引き上げられるなどの内容も含まれている。

今後、60日間のパブリックコメントを経て最終規則化され、2020年1月から施行される見通し。

今回の改正で雇用主は、改正の影響を受ける従業員の職務内容を考慮した上で、エグゼンプト従業員として年収3万5,308ドル以上を支払うか、ノンエグゼンプト従業員として残業代を支払うなどの見直しが必要となる可能性がある。ただし、カリフォルニア州ではエグゼンプト従業員に年収4万5,760ドル以上の支払いが必要となるなど、独自の基準を定める州もあるため、各州の労働法令に詳しい弁護士などの専門家に確認することが重要だ。

そのほか、改正案の詳細は労働省ウェブサイトFAQ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(北條隆)

(米国)

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