米中貿易摩擦、ホーチミン市の電気・電子製品の輸出に影響

(ベトナム、米国)

ホーチミン発

2019年04月25日

米中貿易摩擦が、ベトナム国内において一部の商品群の輸出に影響を与えているようだ。ホーチミン市の2018年の米国向け「電気・電子機器」輸出額が前年比4.8%減とこの10年間で初めてのマイナスになった(オンライン税関ニュース4月7日)。同品目は、ホーチミン市の輸出のうち、最も多くの割合を占める。同ニュースによると、部品が主に中国から輸入されていることから「中国原産品」と見なされて、米国による課税を受け、輸出額が減少したという。ホーチミン市をはじめとして、同品目は外資系企業によって製造、輸出されているケースが多い。

ある専門家は、中国からの原材料の輸入が多いベトナムは、原産国偽装による課税回避の疑いをかけられ、米国の調査を受けるリスクが高くなっていると指摘する。ベトナム皮革履物ハンドバッグ協会のジェップ・タイン・キエット副会長は「米中貿易摩擦により、米国の調査対象となるリスクは、同産業の企業課題の1つだ」と話す。また、ゴー・タン・チュン商工省貿易保護局長は「米中貿易摩擦が世界の保護的な傾向を増大させている。ベトナムが最近、米国から受けたアンチダンピングや反補助金の各調査は、中国への調査手続きと同じタイミングで、米中貿易摩擦のリスクや課題について、国内企業は継続して監視、分析、予測し、さまざまなシナリオに対応すべきだ」と警告している(2018年5月31日記事参照)。

ベトナムにおける米中貿易摩擦の影響については、ジェトロが実施した「2018年度進出日系企業実態調査」の結果で、マイナスの影響があると回答したのは124社(17.8%)だった(2019年2月22日付地域・分析レポート参照)。

(小林亜紀、ダン・ティ・ゴック・スオン)

(ベトナム、米国)

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