先端自動車の関税減免対象輸入者を拡大、商社にも恩恵

(アルゼンチン)

米州課

2019年04月02日

アルゼンチン政府は3月28日、政令230/2019号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布し、政令331/2017号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの第4条を無効とした。発効は3月29日。これにより、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HEV)、燃料電池車(FCV)といった先端自動車の輸入関税の減免の恩典を、完成車メーカーだけでなく、輸入商社なども受けられるようになった。

アルゼンチンは、メルコスールの対外共通関税制度にのっとり、ブラジル、ウルグアイ、パラグアイと同一の関税率表を適用している。ただし、国内で製造が困難なものや、国内産業が未発達で流通量が少ない品目には例外関税率を設定し、関税を減免している(2018年9月25日記事参照)。対外共通関税における自動車(HS8703および8704)は35%だが、政令331/2017号は2020年5月まで、年間上限を6,000台として先端自動車の輸入関税の減免を規定している。完成車(CBU)のHVは5%。CBUのEVとFCVは2%。セミノックダウン(SKD)、コンプリートノックダウン(CDK)のHEV、EV、FCVは0%だ(添付資料参照)。ただし、以下の条件の車両は優遇関税率の対象外となる。

  1. バッテリーを含めない車両重量が400キロ以下の輸送用電気自動車
  2. バッテリーを含めない車両重量が550キロ以下の商用電気自動車
  3. 最大出力が15キロボルト(kV)以下の電気自動車
  4. 航続距離が80キロメートル以下の電気自動車

完成車メーカー以外も優遇関税の恩恵に

政令331/2017号の第4条は、先端自動車の輸入に当たり優遇関税率を適用できるのは、アルゼンチン国内で完成車を生産しているメーカーとしていた。これまでは、トヨタがプリウスとレクサス、日産がリーフ、メルセデス・ベンツがGLC 350e、フォードがモンデオ、ゼネラルモーターズ(GM)がシボレーボルトの輸入実績がある。これが政令230/2019号により、完成車メーカー以外の輸入者も優遇関税率を適用することができるようになった。アルゼンチン自動車公式輸入販売会議所(CIDOA)は官報公示の3月28日、「今回の制度改正により、消費者はアルゼンチン国内で生産していないメーカーのEVやHEVにアクセスしやすくなる。価格競争によって価格も低下するため、購入意欲が湧くだろう」とのコメントを発表した。

(志賀大祐)

(アルゼンチン)

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