現職ジョコ氏が辛勝、インドネシア大統領選

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年04月18日

4月17日に投開票されたインドネシア大統領選挙では、現職のジョコ・ウィドド氏が再選する見通しとなった。各調査機関による速報値では、ジョコ氏が最大野党党首のプラボウォ・スビアント氏に8~9ポイントの差を付けた。ジョコ氏にとっては、現職大統領として、インフラ開発などの5年間の政権運営の実績を携えて臨んだ選挙戦だったが、イスラム保守層の取り込みに最後まで苦しみ、浮動票の多くがプラボウォ氏に流れるなど、今回も「辛勝」となった格好だ。

各調査機関が発表した速報値によると、ジョコ氏が54.07~54.83%の得票を獲得し、プラボウォ氏(45.17~45.93%)に勝利する見込み(表1参照)。選挙1週間前の調査では、ジョコ氏が13~20ポイントの差で優勢という見通しだったが、浮動票の多くがプラボウォ氏に流れたとみられる。

表1 各調査機関による大統領選挙得票率速報値

ジョコ氏とプラボウォ氏の対決は、2014年選挙に続き2回目。2014年選挙では、新しいリーダーとして登場したジョコ氏が53.15%を獲得し、6.3ポイント差でプラボウォ氏(46.85%)に勝利した。今回の選挙の結果、ジョコ氏の得票率はやや上昇したが、経済政策では十分な対立軸を打ち出すことができず、前回選挙と同様、ジョコ氏の清廉・庶民的なイメージに対し、プラボウォ氏が指導的・強いリーダー像という対立軸となった。一方、プラボウォ陣営は、副大統領候補のサンディアガ・ウノ氏が「知的で若い・庶民目線」のキャンペーンを行い、ジョコ派の有権者の切り崩しを図った(2019年4月16日記事参照)。

さらに、今回の選挙ではイスラム保守派の取り込みが争点となった。ジョコ陣営はインドネシア最大級のムスリム団体ナフダトゥル・ウラマー(MU)前総裁のマアルフ・アミン

副大統領候補を中心としたキャンペーンを行ったが、プラボウォ陣営を支持するムスリム団体も多数出た。これに対し、ジョコ氏は投票日直前に、サウジアラビア・メッカに小巡礼を行うなど、最後まで「敬虔(けいけん)なイスラム」のイメージ打ち出しに腐心した。

今後、選挙管理委員会による集計を経て、正式な選挙結果は5月下旬に発表される予定だ。再選見通しのジョコ陣営の経歴は表2参照。

表2 ジョコ陣営の経歴

(山城武伸)

(インドネシア)

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