プラボウォ氏、保守派・若年層の支持拡大、インドネシア大統領選

(インドネシア)

ジャカルタ発

2019年04月16日

4月17日に投開票されるインドネシア大統領選挙では、最大野党の党首プラボウォ・スビアント氏(67歳)が現職のジョコ・ウィドド氏に挑む。国民を守る強いリーダー像を打ち出し、現政権を批判することで、イスラム保守派などの支持を得る。若手実業家のサンディアガ・ウノ氏(49歳)を副大統領候補に選んだことで、若年層や高学歴層の支持も拡大し、ジョコ氏を急速に追い上げている。

プラボウォ氏が前面に打ち出すのは、ジョコ氏の公約(2018年10月23日記事参照)と異なる強い国家像だ。愛国者を自称する同氏は、これまでの公開討論会でもたびたび、1945年憲法第33条に言及し、国家が国民の基本的な生活を守り先導する役割を果たすことを説く。4月13日の公開討論会では、インフラ政策に注力してきたジョコ政権が脱工業化や輸入品の増加、外資の増長を招いていると指摘し、工業化政策の重要性やコメなどの輸入禁止、資源管理の強化を主張した。こうしたアピールは、現政権に不満を持つイスラム保守勢力の支持を集める。

プラボウォ氏が説く強い国家像に現代的で知的な印象を加えるのが、副大統領候補のサンディアガ氏だ。米国ジョージ・ワシントン大学を卒業し、投資会社を運営する実業家であり、直近までジャカルタ特別州副知事を務めていた。同氏は国民目線の政策として、電気料金の値下げ、健康保険(BPJS)改革、幼児・児童の栄養促進を目的とした牛乳の無償提供、全国各地に職業訓練所の整備といった政策のメリットを説く(表参照)。投資家としての経験も踏まえて起業家の育成を説く姿は、若年層の支持を集める。ツイッターも巧みに使いこなし、選挙キャンペーン中のフォロワー数は130万人に達し、ツイッターで発言するたびに数千人の反響を得た。

「コンパス」紙が3月に行った調査では、プラボウォ・サンディアガ陣営が22歳未満の若年層や高学歴層で、それぞれ47.0%、46.1%とジョコ陣営を上回る支持を獲得するなど、ジョコ大統領とマアルフ・アミン副大統領候補陣営との差を着実に詰めている。

表 プラボウォ・サンディアガ陣営の主な公約

(山城武伸)

(インドネシア)

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