欧州中銀、政策金利を据え置き、マイナス金利の影響対策の可能性にも言及

(EU、ユーロ圏)

デュッセルドルフ発

2019年04月11日

欧州中央銀行(ECB)は4月10日にフランクフルトで開催された政策理事会後の記者会見で、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)を0.00%、限界貸付ファシリティー金利〔オーバーナイト貸し出し(翌日返済)の金利〕を0.25%、預金ファシリティー金利〔オーバーナイト預け入れ(翌日満期)の金利〕をマイナス0.40%と、従前どおり過去最低水準を維持することを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。据え置きの期間についても、前回3月7日に示したスタンスを維持し、「少なくとも2019年内」、かつECBが掲げる物価上昇率の目標値「2%未満でかつそれに近い水準」を持続的に達成するまでに必要な期間としている。また、債券・国債の購入拡大プログラムの下で購入し、現在保有する債券の満期償還金の再投資は利上げ開始以降まで続ける方針をあらためて示した。

マリオ・ドラギECB総裁は記者会見の中で、海外の需要減退などを背景としたユーロ圏内の経済成長の減速見通しをあらためて指摘するとともに、「年内いっぱいは経済成長の鈍化が続く」との認識を示した。

総裁はまた、「ECB政策理事会は目標とする物価上昇率の実現に向け、継続的に、あらゆる適切な手段を取る用意がある」としたものの、政策金利の引き下げや債券・国債の購入プログラムの再開など、具体的なプログラムの導入に関する付言はなかった。なお、前回の政策理事会で発表された新たな長期資金供給オペレーション(Targeted longer-term refinancing operations:TLTRO-III)(2019年3月8日記事参照)についての具体的な説明はなく、「次回以降の政策理事会で詳細に議論される」とした。最新の経済予測が発表される6月の会合に注目が集まる。さらに、マイナス金利の長期継続により銀行の収益性が脅かされているとの見方に対し、ドラギ総裁は、マイナス金利政策の有効性を指摘した上で、その副次効果が認められるようであれば、必要に応じた緩和措置を検討していくとの方針を示した。

(ベアナデット・マイヤー、森悠介)

(EU、ユーロ圏)

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