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アンチダンピング関税賦課めぐるロシアとEUの貿易紛争が激化

(ロシア、EU、米国、トリニダードトバゴ、韓国、マレーシア、WTO)

欧州ロシアCIS課

2019年04月15日

EUとロシアなど関係国との貿易紛争が激しくなっている。欧州委員会は4月10日、ロシア産など鉄鋼継手へのアンチダンピング(AD)関税賦課を5年間延長すると発表、翌月11日には、液状尿素・硝酸アンモニウム混合物へのAD関税賦課も発表した。一方、ロシアは同じ11日、EUが課している冷延鋼板へのAD関税賦課について、WTOに紛争処理小委員会(パネル)設置を再度要請した。

欧州委員会は4月10日、ロシア、韓国、マレーシア産の鉄管継手に対するAD関税賦課を5年間延長すると発表した。ロシア産に対しては23.8%。韓国産は32.4~44%、マレーシア産には49.9~75%の関税率が適用される。他方、トルコ産に対するAD関税賦課は解除された。発効日は4月11日。欧州委員会は、解除した場合、EU域内産業がロシア、韓国、マレーシア製品から価格圧力を著しく受け、経済状況が悪化すると説明している(「プライム」4月10日)。

翌11日には、ロシア、米国、トリニダードトバゴ産の液状尿素・硝酸アンモニウム混合物(HS 3102 80 00)にAD関税を暫定的に導入する決定を採択した。ロシアの化学大手アクロンに対しては31.9%、同じくイブロヒムグループなどその他のロシア企業には34%、米国企業に対して22.6%、トリニダードトバゴ企業には16.3%が賦課される。AD関税は4月12日から6カ月間導入される。

ロシア大手金融機関VTBキャピタルによると、欧州は尿素・硝酸アンモニア混合物の世界需要の4分の1を占める市場で、米国およびカナダ産にとっては最大のマーケット。この欧州市場でロシア産は10%を占めるとしている(「インターファクス」4月11日)。

ロシアのニュースサイト「プライム」(4月11日)よると、ロシア経済発展省はWTOに対し、EUが導入している冷延鋼板へのAD関税賦課に関するパネルの設置を再度要請した。ロシアは2017年1月27日にWTO紛争解決手続きの枠内で、EUとの協議申し入れを行い、3月にはパネル設置を申請していた。EUは4月11日にこの要請を拒絶したため、今回はロシアが再度申し入れを行ったもの。

EUはロシアおよび中国産の特定種類の冷延鋼板に対して、2016年8月5日から、AD関税を導入している。ロシアの鉄鋼メーカー3社に課されており、マグニトゴルスク鉄鋼コンビナート(MMK)に対して18.7%、セベルスタリ34%、ノボリペツク鉄鋼コンビナート(NLMK)などその他鉄鋼メーカーに対しては36.1%としている。

経済発展省によると、ロシアが2回目のパネル設置を要請した場合、EUは拒絶を繰り返す権利を有しないため、自動的にパネルが設置される。WTOパネルへの付託理由として、AD調査期間中の欧州委員会のAD関税実施の根拠となる調査手続きに多数のルール違反があったため、と説明している。

上記のほかにも、EUとロシアの間にさまざまな貿易紛争が存在している。プーチン大統領は2月23日、EU企業が製造したものを含む輸入除草剤に対して、ダンピングから保護するための包括的措置を講じるよう連邦政府に指示(2019年2月26日記事参照)。加えて、ロシア政府は4月2日、EUが導入している鉄鋼製品7品目分類への関税割当に対する報復可能性を示唆(2019年4月3日記事参照)するなどの行動に出ている。

(齋藤寛)

(ロシア、EU、米国、トリニダードトバゴ、韓国、マレーシア、WTO)

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