第1四半期の自動車生産は前年同期比3割減、輸出と国内需要の減少が影響
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2019年04月12日
アルゼンチン自動車製造業者協会(ADEFA)は4月4日、3月の自動車生産台数(大型トラック・バスを除く)が前年同月比41.1%減の2万9,227台、輸出台数は23.9%減の2万1,085台だったと発表した。第1四半期(1~3月)の生産台数は前年同期比30.7%減の7万6,692台で、輸出台数は16.4%減の4万7,919台だった。
生産台数の落ち込みの背景には、国内需要の低迷だけではなく、主要輸出先であるブラジルへの輸出にブレーキがかかっていることも影響している。2018年に政府はIMFからの融資実行条件の履行が必要だったため、財政緊縮策と歳入増加を目的に、レインテグロ制度(輸出品の生産から販売にかかった間接税を輸出者に払い戻す制度)の改定(2018年8月15日記事参照)や資本財輸出に輸出課徴金(輸出税)を導入した。これら税制度の変更が足かせとなり、多くの企業がブラジルへ輸出することで損失を出しているという。例えば、2018年初めにブラジル向け輸出を中心とする「クロノス」の生産を開始したフィアットによると、税制変更後、輸出台数1台当たり500ドルの損失が出ているという(「インフォバエ」紙4月4日)。ADEFAによると、第1四半期のブラジルへの輸出台数は前年同期比21.7%減の3万1,521台だった。
販売も下降を続けている。アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)によると、3月の新車販売登録台数(重・軽商用車およびその他大型車を含む)は前年同月比54.5%減の3万8,864台だった。第1四半期では前年同期比49.5%減の13万9,086台となり、14万台を切ったのは、年間販売登録台数が45万台だった2006年以来となった。高金利政策によりローンを組んで自動車を購入する消費者が減少していること、部品や燃料、通行料といった自動車の維持、利用にかかる費用の値上がりが販売の低迷を招いている。コンサルタント会社ラダルは、国内需要の落ち込みが続くことによって、2019年の生産台数は15%縮小するとみており、生産見通しは毎月減少しているとしている(「iプロフェッショナル」4月4日)。
(高橋栞里)
(アルゼンチン)
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