輸出振興恩典を修正、3つの財政緊縮策を実施

(アルゼンチン)

米州課

2018年08月15日

アルゼンチン財務・金融省は8月14日、輸出振興恩典を修正するなど3つの財政緊縮策を実施すると発表した。これにより2018年は125億ペソ(約462億5,000万円、1ペソ=約3.7円)、2019年は530億ペソの財政支出削減が見込まれるとしている。

財政緊縮策の1つ目は、輸出品の生産から販売にかかった間接税を輸出者に払い戻すレインテグロ(Reintegro)制度の見直し。2018年3月施行の税制改革法(法律24430)により、小切手税が撤廃され、所得税率も下がったことによる歳入減少を補うために、レインテグロ制度による払い戻し額を34%削減する。

2つ目は、大豆油と大豆粉の輸出税低減の6カ月間停止。アルゼンチン工業油会議所(CIARA)は「大豆と大豆副産物の3ポイントの輸出税の差を埋めるのが狙いだろう」と話している(「エル・クロニスタ」紙8月14日)。マウリシオ・マクリ政権は政令133/2015号(2015年12月16日付)で大豆副産物(大豆油・油かす)の輸出税を27.0%に引き下げ、さらに政令1343/2016号(2016年12月30日付)で2018年1月以降毎月0.5ポイントずつ低減している(2019年末まで)。この結果、2019年末時点の大豆副産物の輸出税は大豆より3ポイント低い15.0%となる予定だったが、8月15日、アルゼンチン大統領府は政令757/2018号を公布し、6カ月間の停止(2019年2月28日まで)によって大豆と同じ18%にとどめる。

3つ目は、連邦連帯基金(FFS)による地方州・自治体への交付金の停止。FFSは大豆の輸出税を原資とする基金で2009年に設立された。左派の前政権では輸出税収入の25%を交付金として地方州・自治体へ還元していたが、マクリ政権の輸出振興策によって輸出が拡大し、輸出税収入が増えたことによって還元率は30%となっていた。

(志賀大祐)

(アルゼンチン)

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