BOIも「国際ビジネスセンター(IBC)」の恩典制度移行を発表

(タイ)

バンコク発

2018年12月21日

タイ投資委員会(BOI)は12月11日付の布告で、既存の地域統括本部(IHQ)と国際貿易センター(ITC)が国際ビジネスセンター(IBC)に移行することを公表した。

タイ政府は従来からIHQやITCを導入し、地域統括機能を持つ企業の誘致を促進してきた。これらの制度の下、対象企業はBOIに対して外資単独による株式所有、歳入局に対しては法人税免税などを申請することができた。

歳入局は10月10日、IHQとITCに代わる新制度としてIBCを公表していた。歳入局に税務恩典を申請するために必要な最低経費が従来よりも上昇し、また従業員の雇用義務が新たに課されるなど、申請条件に大きな変更が加えられた(2018年11月8日記事参照)。この際、ジェトロがBOIにヒアリングしたところ、IBCへの移行は、あくまで歳入局の税務恩典についてで、BOI恩典に変更の予定はないとの説明を受けていた。しかし、上記布告の公表により、BOI恩典もIBCへ移行することが今回判明した。

事業範囲に変更なし、恩典に変更ありの予定

この布告によると、IBCが対象とする事業範囲は、既存のIHQやITCと基本的に変更はないものの、その申請条件や恩典内容に変更がある予定だ。

まず、申請条件では、10人以上の従業員の雇用義務が発生する(金融サービスの場合は5人以上)。恩典については、研究開発やトレーニングに使用される機械の輸入税が免除されるが、従来適用されていた輸出製品用の原材料・部品の輸入税の免除はなくなる予定だ。申請条件は現行制度より厳しくなり、恩典は制限的となるといえよう。

BOIによれば、IBCにおけるBOIへの申請手続きなど詳細は、今回の布告の官報掲載後に明らかになる予定だ。既存のIHQやITCへのBOI恩典申請の受け付けは既に終了しているという。

近年、多くの日系企業がIHQやITCに認可され、タイで事業展開してきたことから、今回の布告は日系企業のタイ進出にも影響を与えるものと思われる。

(田口裕介)

(タイ)

ビジネス短信 9cabc35876418db3