東京ガスがフランス・エンジーと共同で再生可能エネルギー開発

(メキシコ)

メキシコ発

2019年04月15日

東京ガスは4月8日、フランスのエネルギー事業大手エンジー(Engie)と共同で、メキシコでの再生可能エネルギー事業に取り組むことに合意したと発表した。エンジーは、メキシコで再生可能エネルギーの開発・運営を行う開発運営会社を設立したが、その株式を東京ガスが50%取得し、共同で事業に取り組む。共同開発運営会社は「エオリオス・エンテーヘー」に改称する予定。エンジーは、2013年末の憲法改正以降に実施された電力市場改革で創設された電力卸売市場(MEM)における、クリーンエネルギー長期電力競売(2017年12月25日付地域・分析レポート参照)で電力供給契約を獲得している。

東京ガスのプレスリリースによると、共同開発運営会社は2つの陸上風力発電(ともにタマウリパス州)と4つの太陽光発電(アグアスカリエンテス州、チワワ州、ソノラ州、トラスカラ州)で構成された再生可能エネルギー発電プロジェクトを保有する予定で、2019年7月までに商業運転を開始する。この6プロジェクトの1年間の発電電力量は、メキシコ一般家庭約130万件の消費電力に相当する(表参照)。

表 東京ガスとエンジーのメキシコでの共同プロジェクト

メキシコは、気候などの自然条件が太陽光発電や風力発電に向いており、クリーンエネルギー発電に高いポテンシャルを持つ。ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンスによる、新興国・途上国におけるクリーンエネルギー市場に関する調査報告書「クライメイト・スコープ」においても、「政策や電力構造などに代表される基礎パート」や、「これまでの取り組み・開発」が評価され、国別競争力順位が2018年に分析対象103カ国中、8位となっている。また、メキシコ政府は2015年末にエネルギー転換法を公布し、クリーンエネルギーの開発を促進している。エネルギー転換法の付則3条では、2021年にクリーンエネルギーの発電比率を30%、2024年に35%にする目標を掲げている(2018年上半期のクリーンエネルギー発電量は全体の24.1%)。

他方、2018年3月15日に公示され、応札日を11月2日としていた第4回クリーンエネルギー長期電力競売は、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領の当選後、中止を正式に発表しており、今後の民間資本の参入については不透明となっている(応札日の2度の延期後、入札の目的や影響を見直すとの理由で無期延長し、最終的には2019年1月31日に中止を発表)。

(中井健太)

(メキシコ)

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