大統領選の公約出そろう、ジョコ氏は人材育成を前面に

(インドネシア)

ジャカルタ発

2018年10月23日

2019年4月に予定される次期正副大統領選挙の立候補者による選挙公約が出そろった(添付資料参照、注)。現職のジョコ・ウィドド氏と宗教指導者マアルフ・アミン氏の公約は、まず保健・教育制度改革を通じた人材育成を掲げ、次に経済インフラ活用と第4次産業革命に対応する経済改革など、9つのミッションを打ち出した。最大野党の党首プラボウォ・スビアント氏とサンディアガ・ウノ氏の公約は、景気回復や物価安定などの経済改革、雇用確保や貧困対策を通じた国民福祉の改善など4つの柱を示した。

ジョコ-マアルフ陣営:インフラ活用や第4次産業革命への対応

ジョコ-マアルフ陣営の公約PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、第1期政権で行ったインフラ開発の次の段階として、子供の健康、教育制度、職業訓練、起業家育成の取り組みを通じた人材の質の向上に注力するとした。経済分野では、第1期政権で開発したインフラの有効活用を基礎としつつ、新たな経済センターや、経済特区・工業団地とインフラの統合的開発、低所得者・公務員らへの住宅提供、都市インフラ開発などに言及した。また、第4次産業革命への対応のための優先分野として、製造業、食品産業、エネルギー、海洋関連産業を指定するとともに、新たな有望分野として観光産業、創造産業、シャリア金融(イスラム法にのっとった金融取引)、デジタル経済を挙げ、さらに均衡かつ公正な開発を重視する姿勢を打ち出した。

プラボウォ-サンディ陣営:国民生活優先経済と福祉の拡充

これに対し、プラボウォ-サンディアガ陣営の公約PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、経済、国民福祉、文化・環境、政治・法務・治安防衛の4つの観点から改革案を記載した。経済面では、国民生活を優先する財政・経済政策や、地方の農村改革、国内労働者の雇用確保などを打ち出した。また国民福祉面では、社会保障制度の拡充などを打ち出した。

両陣営による具体的な政策議論はまだ始まっておらず、「コンパス」紙が有権者に対して行った調査でも、公約について知っていると答えたのは10%台にとどまっている。

(注)インドネシア正副大統領選挙の公約は、ビジョン(展望)、ミッション(使命)、アクションプランから構成される。今回翻訳したのは、それぞれの導入部分。

(山城武伸)

(インドネシア)

ビジネス短信 fd4c8b082158f464