建築中の住宅の新税率適用に経過措置

(インド)

ムンバイ発

2019年04月02日

物品・サービス税(GST)評議会は3月19日、第34回会合を開き、建築中の住宅に課されるGST税率の引き下げについて、経過措置を設けると発表した(注)。GST評議会は前回の会合で、停滞気味の住宅市場へのてこ入れのため、建築中の住宅にかかるGST税率を低価格住宅で8%から1%に、その他の住宅で12%から5%に引き下げると発表していた(2019年3月20日記事参照)。今回の決定により、「4月1日以前に建築と入居募集が開始された物件で3月31日までに完工しないプロジェクトは、新旧いずれかの税率を1回に限り選択することができる」ことになった。

さらに、インプット・タックス・クレジット(仕入税額控除)の4月1日以降の一律適用除外措置についても、建築会社やデベロッパーの懸念を受け、経過措置として、「旧税率を選択した場合は、これまでどおりインプット・タックス・クレジットの適用対象とし、新税率を選択した場合は適用除外とする」と発表した。この経過措置導入に対し、関係者の反応はおおむね好意的で、英国系不動産コンサルタント会社のナイト・フランクは「3月31日までに完工しない物件がある場合は、(インプット・タックス・クレジットを適用し)利益を維持するため、旧税率を選択し続けるだろう」とした(「ライブ・ミント」3月20日)。一方で、建築中の住宅の不良在庫を抱えるデベロッパーにとっては、利益確保のためインプット・タックス・クレジットを適用することを優先して旧税率を選択するか、在庫処分を優先して購入者に優しい新税率を選択するか、難しい選択になる。一部では、インプット・タックス・クレジットの適用除外による利益減少を補うため、デベロッパーが物件価格を値上げするのではないかという憶測も出ている(「タイムズ・オブ・インディア」紙2月25日)

(注)GST評議会の公式発表はウェブサイトPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)から確認できる。

(比佐建二郎)

(インド)

ビジネス短信 3b2ea6fa773fb4bb