2019年GDP成長率予測は4.3~4.8%

(マレーシア)

クアラルンプール発

2019年04月08日

マレーシア中央銀行は3月27日、2019年の経済成長率予測を4.3~4.8%と発表した。インフレ率は、最低賃金の上昇や産業用電気料金の値上がりなどの押し上げ要因があるものの、原油安に相殺され、2019年は0.7~1.7%と低水準の予測だ。

2019年も民需が堅調

2019年の経済成長の牽引役は、引き続き個人消費、民間投資といった民需が中心となり、農業や鉱業では回復が見込まれる(表1、表2参照)。特に、民間投資は2018年の4.5%から2019年は4.9%に伸びる見通しだ。背景としては、ジョホール州の石油化学精製コンプレックス(RAPID)に加え、電気・電子製品、ゴム製品プラントの稼働に伴う投資が想定される。投資の先行指標となるマレーシア投資開発庁(MIDA)の2018年製造業外国投資認可額も過去最高の580億リンギ(約1兆5,660億円、1リンギ=約27円)に上り、これらも民間投資の成長を後押しする要因となりそうだ。

電気自動車を含む自動車、医療機器向け半導体、特殊化学品、医療向けゴム製品といった分野でも、世界需要の増加が見込まれ、マレーシアの輸出産業に商機があると指摘した。

表1 需要項目別GDP成長率予測
表2 産業別GDP成長率予測

政策金利は引き下げの可能性も

 政策金利の指標となる翌日物基準政策金利(OPR)については、明確な方針は示されなかったが、ノル・シャムシアー中銀総裁は、継続的な経済成長のために安定的な財政・金融政策を実現すると強調した。OPRは2018年1月に引き上げられ、現在は3.25%となっている(4月3日現在)。社会経済調査センター(SERC)のリー・ヘン・ギエ氏は「世界経済の減速に対するマレーシア経済の反応、特に第1四半期(1~3月)のGDP成長率を見て、引き下げを検討するだろう」と指摘したほか、多くのエコノミストが5月に行われる金融政策委員会(MPC)会合における0.25ポイントの引き下げの可能性に言及した(「ザ・エッジ」紙4月1日)。

2018年8月に一部緩和の動きがあった外国為替管理規制(2016年12月12日記事参照)については、外貨建て債務における為替変動リスク回避と居住者間での外貨決済について緩和措置が発表された(為替管理規制に関する補足通知第5号PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。今回の緩和も前回同様、日系企業の負担軽減に大きな影響はないものの、定期的に緩和措置の動きが見られることから、さらなる緩和措置、規制撤廃に期待が寄せられる。

(田中麻理)

(マレーシア)

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