第1四半期のGDP成長率は6.8%、前年同期を下回るも堅調な伸び

(ベトナム)

ハノイ発

2019年04月05日

ベトナム統計総局は3月28日、2019年第1四半期の実質GDP成長率を前年同期比6.8%と発表した。第1四半期としては、前年の7.4%を下回るものの、2009年以降で2番目に高い成長率となった。

業種別では、農林水産業が2.7%(前年同期比1.4ポイント減)、鉱工業・建設業が8.6%(1.1ポイント減)、サービス業が6.5%(0.2ポイント減)だった(表参照)。

表 第1四半期の実質GDP成長率とCPI上昇率の推移

鉱工業・建設業の中でも、製造業の成長率は12.4%で、前年同期比2.0ポイント減となったものの、2桁成長を維持しており、経済成長の原動力となっている。農林水産業では、アフリカ豚コレラ感染やコメ、コーヒー、カシューナッツの輸出減少などが影響し、農業が1.8%で2.1ポイント減となった。サービス業では、卸・小売業が7.8%で0.4ポイント増となり、サービス業の成長に貢献した。

GDPの産業別構成比は、農林水産業10.2%(前年同期:10.4%)、鉱工業・建設業35.3%(35.3%)、サービス業44.0%(43.7%)、税金(補助金を除く)10.6%(10.6%)となり、前年同期と比べてサービス業の割合がわずかに増加した。

2019年第1四半期のGDP成長率が前年同期を下回った要因について、統計総局のグエン・ビック・ラム局長は「昨年は世界の貿易が好調だったのに比べ、今年は米中貿易摩擦や国際的な消費の減速によって世界の貿易が落ち込んでいる。そのため、ベトナムの主力輸出品であるサムスン関連の携帯電話や同部品の輸出が減速した。加えて、国内ではアフリカ豚コレラ感染や鉱産物の採掘減などの影響もあった」と解説した。一方で同局長は、2019年初めから多くの製造関連企業が新設されているため、第2四半期以降は製造業でさらなる成長が見込める、と述べた。

第1四半期の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同期比2.6%(0.2%ポイント低下)で、ここ3年間で最も低い上昇率だった。ただし、3月20日の電気料金引き上げ(2019年3月29日記事参照)や3月18日のガソリン価格上昇を受け、第2四半期はCPI上昇率が高まると予想されている。

(グエン・ラン)

(ベトナム)

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