カザフスタン新大統領が訪ロ、「一帯一路」への積極的な関心も表明

(カザフスタン、ロシア、中国)

欧州ロシアCIS課

2019年04月04日

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は4月3日、大統領就任後初の外国訪問となるモスクワでロシアのプーチン大統領と会談し、相互の戦略的関係を深化させることで合意した。トカエフ大統領はロシアの有力紙とのインタビューにも応じ、中国を含むユーラシア地域の今後の経済統合の方向性について言及している。

ロシア大統領府によると、両首脳は会談で2国間関係、ユーラシア経済連合(EEU)の枠内での協力、相互に関連する地域・国際問題について議論した。首脳会談後に出された共同声明では、相互の主権、独立、平等、内政不干渉原則が確認されたほか、両国の地方間の交流を目的に毎年開催され、次回は2019年11月にロシア・オムスクで開催予定の「第16回地域間協力フォーラム」(2018年11月16日記事参照)に両首脳が出席することなどが発表された。このほか、会談後のプレス会見では、プーチン大統領は、原子力発電の燃料となるウランの両国間での採掘協力から、次の段階であるカザフスタンでの原子力発電所建設の可能性の検討に移行すべきとの提案を、トカエフ大統領に行っている。

一方、トカエフ大統領もロシアとの良好な経済関係を取り上げ、現在ロシア資本が入っている企業はカザフスタンに9,000社あり、石油化学、軽工業、農業、輸送車両製造などの分野を中心に100近い事業が実現段階にあると述べたほか、特に中国西部と欧州西部をつなぐトランジット輸送協力が両国の重要な協力のテーマで、会談では効率的な国境審査について議論したことを明らかにした。

また、トカエフ大統領は今回の首脳会談の前に、ロシアの有力紙である「ロシア新聞」「コメルサント」のインタビューに応じた。ロシア新聞とのインタビューでは、将来的なユーラシア経済の統合の見通しについて問われ、「カザフスタンはユーラシアおよびより大きい規模でのユーラシアの統合プロセスを支持している」と述べた上で、「欧米とロシアの関係の正常化を期待している。関係正常化はEEUおよびその他の国の利益に合致する」と踏み込んだ発言を行った。また、中国などが加わる上海協力機構を自治的で国際的な組織と評価。中国政府が提唱する「一帯一路」イニシアチブについて、「外洋に出口を持たないカザフスタンにとって特別な意味を持つ」とし、「同イニシアチブとEEUの活動を合わせることでユーラシア地域に新しい経済発展への刺激が与えられる」と述べ、EEU域内の統合プロセスの推進に加えて、中国との経済協力を積極的に進めていく方向性を明らかにした。

(高橋淳)

(カザフスタン、ロシア、中国)

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