米国農業センサス発表、牛や豚、大豆生産が増加傾向

(米国)

米州課

2019年04月26日

米国農務省(USDA)が4月11日に発表した2017年米国農業センサス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、全体の農業生産額が前回調査(2012年)に比べて減少する一方で、畜牛や養豚、大豆の各分野では、世界的な需要の増加などにより、生産量が増加している。

調査によると、牛は9,360万頭で前回調査から360万頭増加し、豚は前回調査の6,600万頭から、1943年以来最大の7,240万頭となった。調査会社KISフューチャーズによると、養豚業者は中国市場の動向を見る上で、米中貿易交渉の状況を注視している。中国側の豚肉の追加関税(2018年6月20日記事参照)が撤廃されれば、中国では豚肉の需要が高い一方で、アフリカ豚コレラの発生(2019年4月22日記事参照)で生産能力が低下しているため、豚肉の価格は跳ね上がるとみられている。

大豆の収穫面積は約3万6,400ヘクタールで、前回調査の約3万700ヘクタールから5,700ヘクタール増加している。トウモロコシの収穫面積が約3万4,200ヘクタールで、前回調査より1,100ヘクタール減少、小麦の収穫面積が約1万5,700ヘクタールに減少していることとは対照的だ。伝統的な小麦の生産地だったノースダコタ州では、前回調査時に比べて、5年間で大豆の収穫面積が49%増加した。世界的な油糧種子需要の高まりにより、トウモロコシや小麦から大豆への生産移行が進んだ結果だ。

今回の農業センサスでは、農業経済に関するさまざまな統計データPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)をまとめている。

州別の農産品売上高を見ると、上位10州が全体の54%を占めており、最も高い割合を占めるのは前回調査同様、カリフォルニア州で、売上高452億ドル、全体の12%を占める。アイオワ州(売上高290億ドル)、テキサス州(249億ドル)がこれに続く。

品目別の売上高を見ると、畜牛、トウモロコシ、鶏肉・卵、大豆、牛乳の上位5つで2,550億ドルとなっており、全体の3分の2を占めている。このうち、畜牛が772億ドルで最も高い。テキサス州は畜牛の売上高が全米1位で、米国全体の16%を占めている。

農場ごとの2017年の平均収入(政府支出や農場関連収入を含む)は4万3,053ドルで、前回調査に比べて2%減少している。

2017年には、インターネットによるアクセスが可能な農場が全体の75%となり、前回調査(70%)より増加した。中でも、西部や北部の州が高い傾向にあった。

なお、農場数の動向については2019年4月22日記事参照

(綿引文彦)

(米国)

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