香港・マカオ両政府、日本企業に大湾区をアピール

(香港、マカオ)

香港発、中国北アジア課

2019年04月16日

香港特別行政区(以下、香港)、中国・広東省およびマカオ特別行政区(以下、マカオ)の各政府は4月9日、広東・香港・マカオベイエリア(粤港澳大湾区)(以下、大湾区)のシンポジウムを東京都内のホテルで開催した(注)。香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官、広東省の馬興瑞省長、マカオの陳海帆行政法務司司長と、大湾区内の企業で構成される奥港澳大湾区企業家連盟の蔡冠深(ジョナサン・チョイ)主席、経済産業省の関芳弘副大臣およびジェトロの佐々木伸彦理事長に加え、1,000人以上の政財界関係者が参加した。3政府合同による海外での大湾区計画に関するプロモーション活動は、2019年2月18日に中国共産党中央委員会および国務院が大湾区計画綱要を発表して以降、初めての試みとなる(2019年2月20日記事参照)。

基調講演で香港の林鄭行政長官は、香港の国際金融センターおよび国際航空ハブとしての地位、法の支配の徹底ならびに高い経済自由度などの香港の強みを紹介した。また、林鄭行政長官はイノベーション・テクノロジー拠点としての香港を強調し、香港政府が補助金を支給していることや、香港がイノベーション・テクノロジー分野で日本に注目しており、自身も科学技術振興機構(JST)を幾度も訪れていることなども紹介した。その上で、「大湾区の発展は、日港間の緊密な関係を推進する新たなエンジンとなる」などと述べ、香港と日本の関係の重要性を強調し、日本企業が大湾区において商機を捉える際に、香港をプラットフォームとして活用するよう呼び掛けた。

マカオの陳行政法務司司長は、マカオの人口は少ないものの観光客が年間3,500万人ほど訪問すること、旧ポルトガル領だったことなどから、マカオがポルトガル語圏との交流プラットフォームとなり得ることなどが紹介された。「マカオ政府は、大湾区の発展・建設に参加し、マカオの優位性を積極的に発揮していく。日本および世界中の友人が大湾区およびマカオを来訪し、マカオについての理解を深め、マカオへの投資を通じて、自ら発展・進歩することを歓迎する」と述べ、日本企業による投資への期待を表明した。

(注)大湾区計画は、香港、マカオの「一国二制度」体制を堅持しつつ、域内における各要素の自由な移動と香港、マカオおよび広東省9都市(広州、深セン、珠海、仏山、恵州、東莞、中山、江門、肇慶)の発展の融合を追求する地域発展計画。中国の地域発展計画に香港、マカオが組み入れられたのは大湾区計画が初めてとなる。

(吉田和仁、楢橋広基)

(香港、マカオ)

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